ロームとシェフラーの新たな挑戦
ローム株式会社(京都市)とドイツのシェフラーAG(ヘルツォーゲンアウラッハ)は、革新的な自動車技術の開発を目指す戦略的パートナーシップを展開しています。その一環として、最近、ロームのSiC(シリコンカーバイド)MOSFETを搭載した新型高電圧インバータブリックの量産を開始したことが発表されました。この製品は、中国大手自動車メーカー向けに供給されます。
インバータブリックの役割
電動パワートレインの重要な部品であるインバータブリックは、電気自動車の効率性と性能を左右します。この新しいインバータは、電気自動車のトラクションインバータにおいて必須の、800Vを超える高電圧に対応し、最大650Armsの電流を出力する高性能なパワーパッケージです。これにより、電動車両の基本的な動力性能が大きく向上します。
高効率とコンパクトな設計
ロームが開発したSiC技術により、新型インバータは高効率かつ高出力を実現し、コンパクトな設計を維持しています。これにより次世代電動車の普及を加速させることが期待されています。また、シェフラーの技術との組み合わせにより、インバータブリックは個別部品としても機能します。
戦略的パートナーシップの成果
ロームとシェフラーは、2020年から戦略的パートナーシップを築いてきました。2023年にはSiCパワーデバイスに関連する長期供給契約を締結し、電動車の性能向上に不可欠なSiCチップの供給体制を強化しています。今回の新製品の量産開始は、両社の協業が実を結んだことを象徴しています。
シェフラーのビジョン
シェフラーAGのE-Mobility DivisionのCEO、トーマス・シュティアレ氏は、「eモビリティソリューションにおいて、スケーラビリティとモジュール性を取り入れる戦略的アプローチを重視しています。特に中国市場向けに開発したインバータブリックは、わずか1年で量産化に成功しました」と語っています。このアプローチにより、より多くの電動車が市場に登場することでしょう。
ロームの期待
ローム株式会社の取締役、常務執行役員である伊野和英氏も、「ロームの第4世代SiC MOSFETがシェフラーのインバータブリックに採用され、量産を開始したことを誇りに思います。今後も、自動車産業におけるイノベーションと持続可能性の推進に寄与していきたい」と述べています。
シェフラーグループについて
シェフラーグループは75年以上に渡り、モーションテクノロジー分野で革新を追求してきました。電気自動車やCO₂効率の高い駆動システム、さらには再生可能エネルギーに向けた製品を提供し、持続可能な社会の実現に貢献しています。約120,000人の従業員を擁し、世界各地に250以上の拠点を持つこの企業は、業界の最前線で革新を続けています。
今後、ロームとシェフラーから発表される新しい技術や製品に注目が集まるでしょう。