AIと英語学習の可能性
近年、AI技術はさまざまな分野で活用されており、その中でも教育におけるAIの導入が注目されています。株式会社みらい翻訳が提供するAI自動翻訳ツール「FLaT」は、立命館大学の「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」において、英語学習者に新たな学びの形を提供しています。情報処理速度の向上や英文の質の向上、さらには学生の自信を高めることが、AIとの協働によるメリットのひとつとして報告されています。
この取り組みは、2024年度に学部1・2年生と大学院生を対象に行われた調査を通じて、その効果が実証されました。AIと共同作業を行うことで、英語の学習過程やその成果がどのように変わるのかを探求するもので、特に「効率」と「質」と「自信の育成」をテーマにしています。
AIの活用による効果
調査①では、生成AIを用いた日本語の記事作成とその後のAI翻訳が、学生の英作文課題にどのように影響を与えるかを分析しました。その結果、生成AIによる日本語の原文作成を通じて、英作文にかかる時間が大幅に短縮され、英文の質も向上することが確認されました。
一方で、ポストエディット段階において生成AIを活用した場合、英文の質には変化が見られなかったものの、学生たちの自信は飛躍的に高まったという結果が得られました。AIの使用により、学生は時間をかけてでも質を向上させようとする姿勢が見られ、これは学外活動に対する取り組みの意欲を示すものでもあります。
翻訳プロセスにおけるAIとの協働
調査②では、大学院生を対象に、AIの提案を基にした翻訳文の作成過程に焦点を当てました。AI翻訳を用いながら「自分の言葉」を磨き上げるプロセスが観察され、学生たちはAIを相談パートナーとしながら自己の専門知識を反映させた翻訳文を作り上げることができました。
このことは、AIが単なる道具ではなく、学習者と協働するパートナーとしての役割を果たすことを示唆しています。AIを利用することで、自らの思考を深め、意味のあるコンテンツを創出することが可能になるのです。
教育におけるAI活用の展望
本研究が提示する可能性は、「AIとの協働」が進むことで、学習成果が向上し、学生の思考を活性化させるという理解に繋がっています。AIを効果的に導入するためには、ただ使用するだけではなく、興味を持たせる課題設定や自らの視点を加えて質を高めるプロセスを経験することが需要です。こうした方法論を通じて、より多くの学生がAIを活用し、自らの学びを進化させていくことが期待されます。
今後もみらい翻訳は、立命館大学と共にAIとの協働を通じて教育方法論を深める研究を続けていく方針であり、高等教育における質の向上へと寄与していくことでしょう。AIが学生の思考力や発信力を育む新たな学びの形を、今後も見守り続けたいと思います。