今年の漢字が迎える30周年
公益財団法人 日本漢字能力検定協会が主催する「今年の漢字」が、2025年に30周年を迎えます。日本全国から世相を表す一字が募集され、その結果は清水寺で発表されます。今年の11月1日からスタートするこのイベント。今年の漢字は、過去28年間に選出されてきた数々の漢字を振り返るとともに、時代によって何が重要視されてきたのかを考えさせられます。
漢字に込められた思い
「今年の漢字」は、毎年の出来事や流行、社会的動向を反映した一字であり、応募者たちが選んだその言葉には、多くの思いや歴史が込められています。これまでの30年間で、多くの印象深い漢字が選ばれてきましたが、特に平成と令和では大きな違いがあることが分かります。
平成時代に見られた「乱」
最も応募数の多い漢字の一つである「乱」は、平成時代の1995年から2018年の間に16回もトップ10に入った漢字です。この漢字が表す通り、時代には混乱や混沌とした出来事が続いたことが反映されています。政治や経済、自然災害の影響で多くの人々が不安を感じる中で、サッカー日本代表の活躍による「狂喜乱舞」といったポジティブな応募も見られました。しかし、そんな「乱」が平成時代に選ばれることは多かったにもかかわらず、1位に輝くことはなかったのです。
令和時代に響く「変」
令和時代に入ると、「変」という漢字が多くの応募を受け取ることになります。元号の変更や、台風、大雨など気候的な変化も手伝い、2019年から2024年までの間に、何度もトップ10に登場しました。世の中の変化に敏感な人々が、この漢字に応募した理由は明確です。
30年間の振り返り
過去30年の「今年の漢字」に選ばれた漢字たちを見てみると、それぞれの年に何が起きていたのかが良く分かります。1995年の「震」は阪神淡路大震災を思い起こさせ、2008年の「変」は、全球的な経済危機を表しています。さらには、2020年の「密」は新型コロナウイルスによる影響を反映し、社会全体がどう系列の中で変わったのかということがぼんやりとでも考察できます。
特別展示の案内
この30周年を記念し、通常の漢字ミュージアムでは、「今年の漢字」の特別展示も行われます。初年の1995年から現在までの漢字を一堂に見られる特別な企画ですので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
- - 開催場所: 京都・祇園 習字ミュージアム
- - 期間: 2025年10月21日(火)~2026年2月23日(月・祝)
このように、「今年の漢字」は単なる募集イベントではなく、過去の出来事や人々の思いが詰まった重要な文化的事業であると言えるでしょう。2025年には、さらに多くの人々の参加が期待されています。皆様も是非、漢字一字に込められた思いを語り合ってみてはいかがでしょうか。