サスティナブルな未来を問う「かぐや姫」の展示
2023年8月4日、大阪・関西万博の関西パビリオン京都ゾーンにて、サンコール株式会社が自社の展示品「かぐや姫」を披露しました。このフィギュアは、全て宮津の「竹」を使用しており、強さと美しさを兼ね備えた姿で、多くの来場者の目を惹きました。展示テーマは「いのち輝く未来のかぐや姫」。平安時代の姫君をイメージしたこのフィギュアは、1/4スケールで高さ40cm、最大幅30cmという大きさです。腰まで流れる黒髪と、漆黒の着物を身にまとったその姿は、かぐや姫の象徴とも言える美しさを感じさせます。
すべてが竹素材で構成された展示
この展示品の魅力は、なんといってもその素材。サンコール株式会社が展開するブランド「京かぐや炭🄬」の新素材を活用し、姫を包むふろしきから、顔や髪、着物まで全てが竹素材でできています。具体的には、ふろしきには竹炭と綿シャンタン、姫の顔やボディには竹セルロースとPLA、髪の毛や衣装には竹炭とヴィーガンレザーが使用されています。これにより、竹から生まれた光り輝く姫を、実際に竹そのもので形創るという試みが実現されました。
「輝くいのち」を再定義するこの展示は、環境への配慮と伝統文化の融合を実感させるものとなっています。姫の凛とした目つきには、故郷である京都の自然環境を守るという強い意志が込められています。
漆黒のふろしきも魅力的
かぐや姫が包まれている漆黒のふろしきは、京都のふろしきメーカーである宮井株式会社とのコラボレーションで製作されました。サンコールの開発者が特にこだわったのは、このふろしきの漆黒さを表現する技術です。竹炭粉末を使用し、従来の方法に代わる新しいバインダーを開発することで、質感を保ちながら深い黒色を再現しました。この制作過程は何度も実験を繰り返し、試行錯誤を重ねた結果、見事に成功を遂げました。
初めてのフィギュア制作
さらに、今回のフィギュア制作は3Dプリンタを用いた全く新しい試みとなりました。このフィギュアの制作は、3Dプリンタ用のフィラメントを自社で開発することからスタートしました。造形の過程で発生した問題を乗り越え、完成したときはチーム全員で感動を分かち合いました。
フィギュアの繊細な部分の仕上げは手作業で行われ、光を受けたときに凛とした女性らしさを表現するための細かい研磨作業が続けられました。これら全ての工程が、技術と情熱に裏打ちされています。
万博への出展の意義
昨年度、環境問題への取り組みを発信したサンコールにとって、万博という舞台で世界中の人々にこの作品を披露できることは大変貴重な機会です。この展示が、多くの人々に興味を持ってもらえることを願っています。サンコールは「かぐや姫」を通じて、持続可能な未来を提案し、人々の心に響くメッセージを伝え続けていくことでしょう。