京セラが新たに開発した差動クロック用水晶発振器「Xシリーズ」
京セラ株式会社は、業界最高レベルの位相ジッタ30fsを実現した差動クロック用水晶発振器「Xシリーズ」の量産を2026年1月から開始することを発表しました。これにより、AIサーバーをはじめとする高速データ通信における低ノイズ化と低消費電力に貢献することを目指しています。
差動クロック用水晶発振器とは?
差動クロック用水晶発振器は、主にAIサーバーなどの高速かつ大容量のデータ通信において重要な役割を果たします。通常のクロック水晶発振器が1つの波を出力するのに対し、差動クロック用の発振器は2つの波を出力します。この2波により、受信側で信号の差分を取ることでノイズ耐性が向上し、長距離かつ安定した信号伝送が可能になります。特に5Gネットワークの普及やAIデータセンターの進化に伴い、企業はより信頼性の高いデータ通信を求めています。これらの背景から、新たに開発された「Xシリーズ」は、そのニーズに応えるために特別に設計されました。
業界最高レベルの位相ジッタを達成
「Xシリーズ」は、極めて小さい位相ジッタ30fsを実現しており、この性能はクロック用水晶発振器の分野で業界最高水準です。位相ジッタとは、信号のタイミングのズレを示すものであり、このジッタが小さいほど、高速通信におけるビットエラーの発生を抑制します。京セラは独自の半導体フォトリソプロセスとプラズマCVM工法を活用し、高品質な水晶と高性能ICの組み合わせを実現することで、この数値を達成しました。これにより、高速通信において、信号の安定性が増し、ひいては通信の信頼性を向上させるものとなっています。
省エネルギー化への寄与
また、「Xシリーズ」は新型の差動出力発振ICを採用し、消費電流を従来品と比較して約42%削減しました。156.25MHzの出力において、消費電流は50mAから29mAまで削減されています。この省エネ特性は、特にAIサーバーのような大規模なデータ処理を行う機器において、運用コストの低減に寄与するでしょう。
主な用途
「Xシリーズ」は、AIサーバーに加えて光トランシーバーやストレージ関連、さらには車載ADAS機器など、多岐にわたる用途での活用が期待されています。これは技術の進化が、ますます多様な産業に影響を与えている証です。
今後の展望
京セラはすでに生産体制を強化し、月産200万個の規模での量産をはじめました。生成AIの急速な普及により、今後もますます高まるAIサーバー市場のニーズに応えるため、さらなる技術革新と供給体制の確立を進めていきます。
これからのデータ通信における重要な役割を果たす「Xシリーズ」の動向に注目です。今後も京セラは先端技術の開発に力を入れ、業界をリードしていくことが期待されています。