京セラ株式会社は、2025年10月31日を予定に、日本電気株式会社が保有していた日本航空電子工業株式会社(JAE)の株式を取得し、これに基づいて資本業務提携契約を締結することを発表しました。これにより、京セラはJAEの筆頭株主となり、コネクタ事業において強化と成長を図るという明確なビジョンを持っています。
JAE株式の取得
京セラはNECから22,232,269株、すなわち発行済株式総数の33.0%を獲得することが決まっています。これは市場外相対取引を通じたもので、JAEは京セラの持分法適用会社として新たな歩みを始めることになります。これにより、両社のリソースと技術を活用し、共同での生産体制を確立していくことが期待されます。
提携の目的
京セラは、電子部品ビジネスのセグメントで特に自社の米国子会社であるKYOCERA AVX Components Corporation(KAVX)との連携を強化し、市場シェアの拡大を図っていきます。特に、MLCC(多層セラミックコンデンサ)やタンタルコンデンサといった事業に注力している中で、コネクタ事業にも目を向ける理由は、フレキシブル基板および基板対基板コネクタの開発力を活かしつつ、自動車やデータセンター、さらには産業ロボット分野といった成長市場に確実にアプローチしていくためです。
しかしながら、コネクタ事業には生産技術や製品規格の面で課題がありました。このような状況下でJAEとの提携は、両社の力量を結集して市場における競争力を一層強化するための重要なステップであると京セラは明言しています。
JAEの展望
日本航空電子工業も、自動車や携帯機器、産業機器、航空・宇宙産業という大きな市場に注力し、技術開発と生産強化を進めていく考えです。しかしながら、世界市場の変化や海外展開による課題もあり、計画達成には一定の時間がかかる見込みです。このため、京セラとの提携を通じて、JAEは海外の販売ネットワークや工場を最大限に活用し、コネクタ事業の成長を加速させる方針を打ち出しています。
具体的な提携内容
提携契約に基づいて、京セラとJAEは協業推進チームを設立し、コネクタ事業における様々な協力関係を深めるための具体的な活動を進めていきます。具体的には、京セラのKAVXチェコ工場を利用した製造委託の拡大や、JAEの製品を京セラの販売チャネルを通じて拡販する計画としており、さらに新製品開発や次世代技術の共同開発も視野に入れています。
結論
このような提携は、両社にとって大きな成長機会であり、コネクタ業界全体においても影響力を持つ存在となることが期待されています。京セラとJAEの戦略的な協力が、未来の市場における競争力を高めることに寄与することを、多くの関係者が注視しています。