京セラ、AI高度化の需給管理システムをリリース
京セラ株式会社が新たに開発した「AEMS需給管理システム」は、AI技術を駆使して電力需給の管理を効率化し、地域の再生可能エネルギー(再エネ)の導入を推進します。このシステムは主に地域の新電力会社などに提供され、需給の調整や予測の精度を向上させることで、地域内でのエネルギーの地産地消を支援しています。
開発の背景
日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現を目指しており、再エネの導入が進んでいます。特に地方では、地域に根差した新電力会社が次々と設立され、住民や自治体からも注目を集めています。しかし、電力市場は需要と供給のバランスを正確に見極めることが求められ、特に再エネを利用する場合には、天候や市場の変動に対応できる高精度の管理が不可欠です。これに応える形で、京セラは需給管理業務をAIによって自動化するシステムを開発しました。
AEMS需給管理システムの特徴
1. AIによる高精度予測と業務の自動化
小売電気事業者は、電力の需要と供給をバランスよく管理する必要があります。従来は過去データに基づいて手動で計画を策定していましたが、AEMSではその全過程が自動化され、属人的な作業が減少します。特に、AIは過去のデータや気象予測、地域の需給情報を活用し、精緻な電力需要と市場価格の予測が可能になります。
2. ツールの見える化と改善が可能に
需給バランスの状況をグラフで直感的に表示でき、リアルタイムで収支を確認することができます。これにより、業務の透明性が高まり、データを基にした分析や改善活動が可能となります。
3. 多様な再エネ利用のサポート
小売電気事業者が地域で発生する再エネを有効活用できるよう、AEMSは様々な運用形態に対応しています。京セラはこれまでに、自己託送やマイクログリッド、VPP(仮想発電所)などの実証を行っており、地域ごとのニーズに合わせた適切なオプションを提供しています。
導入事例
青森県民エナジーでは、これまで他社と提携しながら需給管理を行っていましたが、2024年7月から当社のシステムを導入し、地域の再エネを積極的に活用しています。この新しいシステムにより、安定した運用を実現し、専任担当者を置かずとも運用が可能となっています。
今後の展望
AEMSはさらなる機能拡充を予定しており、特に太陽光発電事業者への支援を強化していく方針です。今後は、FIP制度に対応した発電計画の作成支援なども視野に入れており、蓄電池のコントロール機能によって発電の価値向上にも寄与する予定です。
京セラは、地域における再生可能エネルギーの活用を進めることで、持続可能な未来への一歩を踏み出しています。