株式会社WANTOが開発した新しい添削AIシステム「Ainote」
2024年5月に創業した株式会社WANTOは、小論文や志望理由書に特化した新しいAI添削システム「Ainote」のβ版をリリースしました。このシステムの開発は、近年の大学入試改革に伴い、新たなニーズが生じたことから始まりました。特に、2021年からの「総合型選抜」という新たな入試方式は、教育現場における添削業務の効率化が求められるようになりました。
大学入試の変革と添削業務の現状
文部科学省の報告によると、2023年には大学入試における総合型選抜および推薦入試の割合が50.7%に達しました。そのため、従来の方式では対応しきれない新しい教育課題が浮上しています。現役の教員たちへの調査では、志望理由書や小論文の添削には1回あたり15分から1時間以上を要し、添削業務に時間がかかることが明らかになりました。このような背景を受けて、「Ainote」は登場しました。
Ainoteの主な機能
1. ポートフォリオ機能
「Ainote」は、生徒が日々の学びや気づきを簡単に記録できるポートフォリオ機能を搭載しています。この機能は、テンプレートを活用することで、効率的に情報を蓄積できます。さらに、蓄積されたデータはAIによって自然言語処理され、文章解析や感情分析を行い、視覚的にフィードバックが受けられます。
2. 問題作成・配信機能
従来の添削作業では生徒それぞれに適した問題を選ぶのに多くの時間を要しましたが、「Ainote」ではテーマを選ぶだけで問題が自動生成され、数クリックで対象生徒に一斉に配信可能です。これにより、時間効率が大幅に向上します。
3. AI添削機能
また、AIが生徒の記述内容を即時に解析し、文章構成や表現の適切さを評価する機能も備えています。生徒個々のエピソードに基づいたフィードバックが得られるため、より効果的な指導が実現します。特に、Microsoft Azure OpenAI Serviceを基盤にしており、安心・安全に使用できる環境が整備されています。
初期検証から得られた結果
クローズドα版での初期検証では、ポートフォリオへの記入から添削までの流れを私立学校で実施。回答があった11名の添削時間はなんとわずか5分で、従来の9割以上の効率化が実現されました。ただし、入力率の低さといった課題もあり、今後のアップデートでさらなる改善を目指しています。
今後の展望
正式リリースに向けた取り組みは今後も続きます。ポートフォリオの情報収集機能の強化や、生徒の活動記録を一元管理できるシステムの構築を進めることにより、教員の負担を減らし、教育の質を高めることを目指します。また、調査書や成績管理などの校務業務のデジタル化も進めていく予定です。
開発者の想い
代表取締役の西坂優希氏は、「Ainoteを通じて生徒に新しい選択肢を提供し、教育の質を向上させていきたい」と強い意志を持っています。その思いを実現するため、今後も改善と精進を続けていく所存です。このように、「Ainote」は教員や生徒にとって、共に寄り添い合える教育の新たな選択肢となることでしょう。