市区町村役所手続きの新たな潮流
近年、全国各地の市区町村では、利便性向上と業務効率化を図るために行政手続きのオンライン化が進められています。この流れは、特に新型コロナウイルスの影響を受け、多くの人々が非接触で手続きを行える手段としてその利便性を実感しています。紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)が実施した最新の調査によれば、行政手続きの選択方法には明確な世代間の違いがあることが分かりました。
調査概要
この調査は2023年5月26日に、全国の18歳以上の1,000人を対象に行われました。市区町村の役所で行う手続きについての選択肢は、主に「オンライン」「対面窓口」「コンビニ」「郵送」の4つです。現代のテクノロジーが進化する中で、住民はどのような方法を選んでいるのでしょうか。
オンライン派が39%、対面派が37%
調査によると、役所手続きの方法として「オンライン」を選んだのは39.7%、対面窓口が37.4%、コンビニが11.1%という結果が出ました。年齢別に見ると、20代のオンライン派は60%を超えていますが、70歳以上では20%台にとどまり、対面窓口を選ぶ人が増加しています。このことから、年齢によって行政手続きに対する意識の差が明白であることがわかります。
市広報誌の認知度
また、市区町村が発行する広報誌の購読状況に関する問いでは、読まないと回答する割合が多い中で、毎号必ず読むと答えた人は僅か16%でした。特に70歳以上の高齢層は購読率が高いものの、若い世代ではその意識が薄い傾向が見受けられます。これにより、地域の情報が若い世代に届きにくい可能性があり、今後改善が求められます。
働き方改革の影響
さらに、職員の働き方改革として開庁時間の短縮が進められていますが、これに対する意見は分かれる部分があります。「不便だと思うが仕方ない」と答えた人が51%を占め、「不便だ」との意見も多く、現実的な変化に対して戸惑う住民もいるようです。このように、行政サービスの運営に対する市民の意識が多様化していることが、調査から浮き彫りになりました。
サポート不足の実情
行政サービスの利用に関する不明点については、対面窓口や担当部署への電話確認が依然として主流です。また、「手続きや必要書類が複雑」との声も多く、行政側には利用者への理解を深める支援が求められています。一方で、不明点を解消できなかった経験がある人も23%おり、これらの課題は今後の行政改革において重要なテーマとなります。
まとめ
この調査結果は、役所手続きのオンライン化が進む中でも、年齢層によって選ばれる手続き方法が異なることを示しています。従来の対面での手続きが大切にされている世代と、デジタル化を積極的に受け入れている世代のギャップは、行政サービスのデザインにおいて考慮すべき点です。今後も行政のデジタル化が進む中で、すべての市民がより便利なサービスを享受できるようにするための取り組みが求められるでしょう。