震央推定の新手法
2025-12-30 18:57:25

京都大学が実現した地震前兆滑りを利用した震央推定の新手法

京都大学による地震前兆滑りを活用した震央推定



京都大学の大学院情報学研究科で、地震の前兆現象を基にした新たな震央推定手法が開発されました。この成果は、2025年12月にアメリカ・ニューオーリンズで開催されるAGU25で発表される見込みです。本技術は、異常現象を観測することで、地震の震央を推定する技術であり、短期的な地震予知の実現に向けた大きな一歩とされています。

新手法の概要



今回の研究では、2011年に発生した東北地方太平洋沖地震に着目し、震央を約50km以内で推定する精度を実現しました。地震発生約80分前から異常値が観測され、1時間前からのデータをもとに地殻変動を分析します。5分間隔で取得されたデータを用いて、地震の前兆となる滑り(プレスリップ)を記録し、これを基に震央を推定する新しい手法が導入されています。

研究の背景と社会的インパクト



日本政府は、現在のところ科学的に地震予知を認めていません。しかし、この研究によって得られた結果は、短期の地震予知が可能であることを示すものであり、大きな社会的インパクトを持つことが期待されています。意見交換の場で参加者から「スーパーバイタリング(非常に興味深い)」という感想が寄せられるなど、研究の成果に対する期待感が高まっています。

技術的な挑戦



一方で、技術的な限界も指摘されています。内陸での地震に関しては、受信機の密度が低いため、震央からの距離が大きくなるほど推定が困難になる可能性があります。例えば、震央が100km以上離れた場合、震央推定が難しくなります。しかし、プレート境界が陸上にある地震や内陸型地震については、前兆滑りの異常を示すシグナルが大きくなる傾向があるため、新たな研究が進められています。

今後の展望



研究チームは、今後もさまざまな地震に対する震央推定解析を進め、どのような地震が明確な震央推定を可能にするかを明らかにしていく方針です。この技術の実用化が進むことで、地震の前兆を捉え、さらなる命の安全に繋がることが期待されています。

また、将来的には、今回の研究成果を実際の防災活動に活かすための迅速な社会実装が求められています。特に、南海トラフ地震のように大規模な地震の予測において、事前防災が実現すれば、命を救うことができる可能性が高まります。

研究者の言葉



本研究を率いる梅野健教授は、「私たちの技術が、災害に対する備えや予知の実現に寄与することを願っています」と述べており、将来的な研究の展開にも期待を寄せています。研究成果は、今後の防災対策や地震予知の分野において、新しい可能性を切り開く鍵となりそうです。

このように、京都大学が開発した震央推定の新しい手法は、地震予知の可能性を広げるものであり、今後の研究の進展に注目が集まります。


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