アートと宿泊の新しい形、Art Room 803「vault」
京都の中心に位置するBnA Alter Museumが、現代美術家チョン・ユギョンによる新しい宿泊ルーム「Art Room 803「vault」」をオープンしました。このルームは「10年先の未来を生きるアートコレクターの隠れ家」をテーマに、アートファンにとって特別な体験を提供します。ここでは、宿泊しながらアート展示を楽しむことができ、毎年異なるアーティストやディレクターがその内容を手がけます。
今回、ディレクターには「oar press」を主宰する見目はる香が起用され、チョン・ユギョンは在日コリアン3世としての視点を活かし、文化や歴史の複雑さを問いかける作品を展示しています。特に、彼の作品には「移動の歴史」と「境界線」がテーマとして取り上げられており、人々の分断や迫害を象徴する複雑な背景が描かれています。
作品とその背景
今回の展示では、架空の焼き物「大村焼」に基づいた陶器の作品や、日光写真による新作「大村焼の耳」が公開されています。
大村焼
「大村焼」は、日本と朝鮮の歴史の複雑さを反映した作品で、収容所名の冠にであることからも多くのストーリーが込められています。特に、第二次世界大戦中、日本が鉄不足だったことから作られた「陶製手榴弾」の型を用いた花瓶のシリーズが注目を集めています。歴史が生んだ痛みと美しさを兼ね備えた作品は、見る者に深い思索を促します。
サイアノタイプ
さらに、作家が「大村焼の耳」と呼ぶ端材から制作されたサイアノタイプの作品も展示されています。この青写真のモチーフは、歴史から取り残された人々の声を象徴するかのように、ディスプレイされています。
ルームコンセプト
Art Room 803には、宿泊者がアートと向き合うための特別な空間が用意されています。22平方メートルの広々としたスーパー・ダブルルームには、シャワーが完備されており、快適な滞在を約束します。また、宿泊者は偶然訪れるアートコレクターの友人として、そのアートを肌で感じることができる特権を持っています。
チョン・ユギョンの視点
チョン・ユギョンは、福岡を拠点にさまざまな「移動」の歴史を掘り下げ、その文脈において個人や文化の狭間で表現を行っています。彼は、過去の歴史的文脈を意識しながら、その影響を受けた現代人としての体験を形にしています。特に、収容所名を冠した作品群は、歴史と文化の深遠な関係を浮き上がらせ、観客に新たな視点を提供します。
アートの購入も可能
なお、展示されているすべての作品は購入が可能で、特に「大村焼」の一輪挿しシリーズやサイアノタイプ「Mimi」のシリーズは、当館の1Fショップでも取り扱っています。ぜひ訪れる際には、これらの作品を手に取ってみてください。
アクセスと詳細情報
BnA Alter Museumは、三つの行き方が選べます。阪急河原町駅からは徒歩6分、京阪祇園四条駅からは徒歩7分、河原町松原バス停からは徒歩3分です。4700年代から続く歴史ある京都で、アートとともに過ごす特別な体験を是非お楽しみください。
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まとめ
Art Room 803「vault」は、アートファンや宿泊者に新たな価値観を与えてくれる場所です。現代アートに触れながら、歴史を見つめ直したい方にとって、心に残る体験が待っています。訪れた際には、アートの探求と共に、京都の魅力を再発見してみてください。