レスキューロボット「T-54 援竜」の初めての合同訓練
2025年11月19日、株式会社テムザックが開発したレスキューロボット「T-54 援竜」が富山県で行われた「令和7年度中部管区広域緊急援助隊合同訓練」に初めて参加しました。これは中部6県、つまり富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県の警察部隊と防災機関が連携して行う重要な訓練です。大規模災害への備えを目的とし、実際の災害に近い状況が再現されました。
訓練の内容
この訓練では、地震発生を想定し、倒壊家屋や土砂災害現場における救助活動が行われました。特に、T-54 援竜は二次災害リスクを考慮して、倒壊した家屋周辺の瓦礫を除去し、救助進入口の確保といった危険区域での作業を任されました。これにより、安全に救助活動が進められるよう助ける役割を果たしました。
T-54 援竜の機能
T-54 援竜は、災害現場での救助活動をより効果的に行うよう設計されたレスキューロボットです。以下のような特筆すべき機能を持っています:
- - 双腕アーム:重い瓦礫を持ち上げ、人を救出する能力があります。
- - 遠隔操作:危険な場所でも、離れた安全なところからリアルタイムで操作できます。
- - 高い走破性:ゴムクローラーが装備されており、様々な地形を移動できます。さらに、除雪や整地作業ができるブレードも搭載しています。
- - 直感的な操作性:腕の動きに合わせてロボットが連動する「同期動作制御」が採用されており、オペレーターが直感的に操作が可能です。
歴史と背景
テムザックがレスキューロボットの開発を開始したのは、1995年の阪神淡路大震災が契機でした。この際、北九州市消防局から「人命救助に限界がある危険区域で活動できるロボットが必要」との声を受け、援竜シリーズの開発が始まりました。このシリーズは、地震、津波、火災、爆発など、通常の人間では立ち入れない危険な現場を想定し、研究・開発が続けられています。
将来の展望
日本は災害多発国として知られています。災害現場では、より安全で迅速な救助活動を実現するための技術革新が求められています。今回の訓練参加は、T-54 援竜の技術的なブラッシュアップにとって貴重な機会であり、実際の災害現場での活躍へとつながる重要なステップと位置づけられています。
テムザックは、訓練を通じて得た知見を今後の開発に反映し、国際的にリードできる災害対応ロボット技術の確立を目指しています。災害大国である日本において、人命救助の現場力を高めるための実践的なロボット開発を継続していく所存です。
T-54 援竜の基本情報
- - 全高: 1.7m
- - 全幅: 1.4m
- - 全長: 5.4m
- - 重量: 3.5トン以下
- - 燃料: 軽油
- - 機能: 6軸油圧アーム、7台のカメラ、ゴムクローラー
- - 操作方式: 無線による遠隔操作、ローカルWi-Fiと有線LANでの接続が可能
株式会社テムザックは、人とロボットの共存社会を目指す企業として、医療、建築、災害レスキューなど、多様な分野で活躍するロボットの開発を進めています。