ロームとインフィニオンの協業について
日本の半導体メーカーであるローム株式会社と、ドイツの半導体技術をリードするインフィニオンテクノロジーズが、SiCパワーデバイスのパッケージに関する共同協力を進めることを発表しました。この取り組みは、車載充電器や太陽光発電、エネルギー貯蔵システム、AIデータセンターなど多様な分野でのSiCパワーデバイスの普及を促進することを目的としています。両社の協業により、ユーザーは互換性のある製品を効率よく調達できるようになります。これにより、製品の併用や切替えが容易になり、設計や調達のプロセスにおいて大きな利便性が提供されます。
インフィニオンのグリーンインダストリアルパワー事業部のプレジデント、ピーター・バーウァー氏は、「ロームとの協業を通じてSiCパワーデバイスの普及を加速できることを嬉しく思います。お客様はより幅広い選択肢と柔軟性を手に入れ、脱炭素化に向けた高効率アプリケーションの開発が可能になる」と述べています。
技術革新とユーザーの利益
この協業の一環で、ロームはインフィニオンの革新的なSiC向け冷却プラットフォームを採用します。これにより、全てのパッケージの高さが2.3mmに標準化され、設計が容易になり、冷却システムのコスト削減と基板スペースの有効活用が実現します。また、この新しいプラットフォームでは、最大2倍の電力密度向上が可能になります。
同時に、インフィニオンはロームのハーフブリッジ構成SiCモジュール「DOT-247」を用いて互換性のあるパッケージの開発を進めます。これは、インフィニオンの新たに発表したDouble TO-247 IGBTラインアップにSiCハーフブリッジソリューションを追加するものです。ロームの先進的なDOT-247は、従来のパッケージに比べて高い電力密度と設計自由度を実現し、効率的なシステム構築をサポートします。
将来的な展望
ロームとインフィニオンは、今後もシリコンだけでなくSiCやGaNなど様々なパッケージでの協業を計画しています。この取り組みを通じて、両社の関係をさらに強化し、ユーザーに多様なソリューションと調達オプションを提供することが目指されています。
SiCパワーデバイスは、電力のスイッチング効率を向上させ、高出力アプリケーションのパフォーマンスをなめらかなものにします。過酷な環境下でもこなせるこのデバイスは、小型化設計を可能にすることで、特に電気自動車の充電や再生可能エネルギーシステム、AIデータセンターのアプリケーションにおいてエネルギー効率の高いソリューションを提供します。
結論
このように、ロームとインフィニオンの協業は、パワーエレクトロニクス業界の未来にとって重要な一歩となります。今後も新たな技術革新と製品展開に期待が寄せられる中、両社はユーザーのニーズに応えるべく積極的に活動していく姿勢を示しています。