新たな地震予知技術の開発で危険度監視が進化！京都大がβ版システムを発表

地震予知の新たな一歩

京都大学大学院情報学研究科の梅野健教授と小池元助教が、準リアルタイムにおける大地震発生の異常を検知するシステムのβ版を開発し、注目を集めています。このシステムは、国土地理院が管理するGEONETデータをもとに、地震の兆候を捉えるために設計されており、発表は2025年12月20日に東京品川で行われました。

システムの概要

この新システムは、地震の前兆となる電離圏および地殻変動を監視するため、約10〜15分のラグタイムを持ち、異常を検出します。これにより、南海トラフや首都直下型地震といった大規模な地震が発生する前に前兆をキャッチできる可能性が示されています。これまで通常は、地震後にデータを解析する流れが主流でしたが、今回のシステムは実運用の場で前兆を抽出できることを証明しました。

社会的意義と今後の展望

今回のシステムの開発により、全国を対象にした初の前兆監視システムが実現されました。前兆現象が発生するのは地震の約1時間前であるという研究結果をもとに、観測網を強化していく方針です。この研究では、他の所在地の共同研究機関と連携し、さらに多くの観測データを取り入れて、確実なアラート発信が可能となることが期待されています。

具体的には、京都大学が保有する観測機データを活用し、JR東海や地方自治体などとの連携によって、GNSS受信機など新たな設備を組み込んだ解析システムを構築予定です。これにより、常時データが取り込まれ、全国規模での包括的な地震監視が実現されるでしょう。

課題と技術の進化

もちろん、このシステムには課題も残されており、リアルタイムの位置補正精度の向上が求められています。また、アラート発出のための共同検証も進めていく必要があります。2026年からは共同研究先を増やし、さらなるデータの充足とアラートシステムの信頼性強化を図っていく計画です。

先進的なレベルの電離圏トモグラフィー技術やプレスリップ相関解析法を活用することで、震央の正確な推定も目指されているとのこと。これにより、より洗練された地震予知システムの実現が期待されています。