医療文書をAIで自動生成する新システム
医療の現場で働く医師や看護師の皆さん、文書作成に苦労していませんか?医療法人社団焔が東京都の「おうちにかえろう。病院」とともに、NTTプレシジョンメディシンと新医療リアルワールドデータ研究機構(PRiME-R)と共同で、医療文書を半自動生成するシステムの実証実験を開始しました。この取り組みは、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けた一歩として注目されています。
1. 取り組みの背景
今回のプロジェクトは、令和5年度「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一環として、統合型ヘルスケアシステムの構築に貢献することを目的としています。PRiME-Rが開発した大規模言語モデル(LLM)を活用し、退院サマリーや看護サマリーなどの医療文書を効率的に生成することで、臨床現場の負担を軽減することを目指します。
このシステムは、2024年10月に展開予定の「モバカルホスピタル」及び在宅医療対応の電子カルテ「movacal.net」への導入が計画されており、幅広い社会実装を視野にいれています。医療従事者の業務負担を減らすため、実際の臨床情報をもとにした実証実験が「おうちにかえろう。病院」で始まりました。
2. 各社の役割分担
この共同研究では、各社が異なる役割を担っています。
- - おうちにかえろう。病院: 医療スタッフが実際に生成される文書の有用性を評価し、臨床現場のニーズを把握する活動を行います。
- - NTTプレシジョンメディシン: 「モバカルホスピタル」でこのシステムを実装し、得られた検証結果をもとに機能の改善や利便性向上に努めます。
- - PRiME-R: AI技術を用いて文書の生成精度を高め、医療現場のニーズに応えられるシステムの完成を目指します。
3. 医療文書生成の流れ
システムの操作は非常にシンプルです。「モバカルホスピタル」の画面上にあるAI要約ボタンを押すことで、必要な医療情報をもとに文書が自動生成されます。これにより、医師が抱える文書作成の負担が軽減され、より多くの時間を患者に向けることが可能になります。
4. 実証実験への参加を呼びかけ
現在、実証実験に参加する医療機関を募集しています。200床未満の回復期や慢性期の病院、有床診療所を対象とし、この取組みに興味のある医療機関はぜひお問い合わせください。
5. 今後の展望
今後、実証実験を通じて得られた臨床現場の声やニーズを反映させ、高精度な医療文書自動生成を実現することが期待されています。この取り組みによって、医療従事者の文書作成業務が効率化され、医師の働き方改革や医療全体の発展に寄与することを目指します。これからの医療の進化に、大いに期待が寄せられています。