医療DXの最前線！永井病院が「NAGAI 100」プロジェクトで業務効率化と人材定着を実現

医療現場の効率化を進めるNAGAI 100プロジェクト

医療の現場は年々厳しさを増しています。全国的な救急搬送件数が急増し、限られた人員で対応しなければならない現状が続いています。三重県津市にある永井病院も例外ではなく、業務の効率化が経営課題として浮き彫りになっています。そこで、同病院は医療DXプロジェクト『NAGAI 100』をスタートし、2024年にはHelpfeelのAIヘルプデスクを導入しました。

AIヘルプデスクと業務知識の即時検索

新しいデジタルシステムを導入した結果、職員はスマートフォンを使い、業務に関する疑問や制度情報を簡単に検索できるようになりました。特に新入職員にとっては、先輩や同僚に質問する勇気がないことも多く、心理的な障壁をこのシステムが取り払ったのです。結果として、導入から1年で離職率は2.7%改善されるという大きな成果を上げました。

患者数倍増の中での効率化の必要性

永井病院は、年間の受入れ患者数が約3000件に達しており、現在職員数も500名を超えるまでになりました。急増する業務量に対して、もともとの人事部門は3名で全職員の労務管理を行う必要があり、新人教育の負担も増加していました。こうした背景から業務効率化が最重要課題とされ、AIヘルプデスクの導入が決定しました。

アクセスしやすい情報提供と職員の意識改革

Helpfeel導入後、就業規則や看護手順を記事化し、現場で即時に参照できる環境を整えました。当初は使い勝手の悪さから利用が伸び悩んでいましたが、職員のニーズを反映させることで認知度が向上。その結果、利用者の87%がHelpfeelを知り、75%が「使いやすい」と回答しました。

さらに、全職員にスマートフォンとチャットツールを配布したことで、オリジナルキャラクター『ふぃーるごりら』を用いた周知キャンペーンを展開。この施策が功を奏し、AIヘルプデスクの利用率は飛躍的に向上しました。

業務効率化の結果、職員の負担軽減

AIヘルプデスクの導入によって、職員が場所を選ばずに疑問を即座に解決できるようになりました。これにより、看護現場では「先輩や同僚に聞けない不安」が解消され、新入職員が自信をもって業務に当たることができるようになりました。また、人事部門での年間残業時間が約60時間削減されたことも大きな成果です。

今後の展望と医療の質の向上

NAGAI 100プロジェクトを通じて得られた業務効率化の成果は、さらなる患者ケアの充実へとつながります。永井病院の院長、星野康三氏は「業務は楽にできるという意識が根付いた」と語り、今後はデジタルツールを活用し、医療サービスの向上を目指すことを強調しています。このように、効率化に成功した医療機関は、今後も患者や家族に寄り添う時間を最大限に確保し、より良い医療を提供し続けることを目指します。