ロームから新型MOSFET「AW2K21」が登場
ローム株式会社は、2.0mm×2.0mmという業界で最も小型のパッケージサイズに実装された新たなNch MOSFET、「AW2K21」を発表しました。この新製品は特に低オン抵抗(Typ. 2.0mΩ)を実現しており、急速充電が求められるアプリケーションでの利用が期待されています。
1. AW2K21の特徴と利点
「AW2K21」は、ローム独自の構造を採用することで、チップ面積当たりのオン抵抗を大幅に低減しました。また、ユニークな設計のため、1つの素子に2つのMOSFETを内蔵しており、双方向保護を必要とする受給電回路にも対応可能です。これにより、一般的なMOSFETよりも面積を大幅に削減し、急速充電に伴う大電流の処理を可能にします。
たとえば、従来の製品では3.3mm×3.3mmのMOSFETが2つ必要なところを、AW2K21は2.0mm×2.0mmの1つで済むため、約81%の部品面積の削減を実現しています。また、一般的に低オン抵抗で知られるGaN HEMTに対しても、類似サイズの製品より約50%のオン抵抗の低減に成功しています。これにより、AW2K21は電力損失の低減と大電流化を同時に実現し、小型でありながら高効率な急速充電が可能です。
2. 使用例と将来的な展望
AW2K21は、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、さまざまな小型デバイスでの使用が見込まれています。ウェアラブル端末やVRゴーグル、さらには液晶モニターやドローンなど、多岐にわたるデバイスで急速充電機能を搭載する予定です。
2025年4月からは月産50万個体制で量産がスタートし、サンプル価格は税抜きで500円となっています。ウェブサイトを通じて販売も行われており、チップワンストップやコアスタッフオンラインなどから購入可能です。ロームはさらに小型化を目指しており、次世代の1.2mm×1.2mmのMOSFETも開発中です。
3. 環境への貢献
今日のデジタル社会において、バッテリーの充電時間の短縮はますます重要な要素となっています。AW2K21は、省スペース化と高効率化を通じて、アプリケーションの小型化やエネルギー消費の削減にも寄与し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとなっています。
この新しいMOSFETは、各種小型機器の進化を支え、急速充電のニーズに応えることで、私たちの日常をさらに便利にしてくれることでしょう。ロームは今後も、高い技術力を活かして、次世代の電力デバイスの開発を進めていく考えです。