進化するマスフローコントローラー
京都市南区に拠点を置く株式会社堀場エステックは、半導体事業においてリーディングカンパニーとして知られています。このたび、超薄型マスフローコントローラー「DZ-100」シリーズの新型、つまり「DZ-107」を1月14日に発表しました。
この新製品は、その名の通りわずか10mmの幅で、類を見ないほどの薄型設計を誇りながらも、流量は従来モデルの約7倍にまで引き上げています。具体的には、最大で20SLM(Standard Liters per Minute)の流量を達成し、業界でもトップ水準のス仕様を実現しました。
開発の背景
近年、半導体デバイスの微細化が進み、エッチングや成膜といった工程に必要とされるマスフローコントローラーの要求はますます複雑化しています。各製造現場では、ガスパネルの小型化とともに、より多くのコントローラーを搭載する必要が生じており、その両立が課題とされています。
こうした状況を受け、「DZ-107」では、2020年に登場した「DZ-100」の特徴を引き継ぎつつ、流量と使用温度範囲の拡大、さらにはEtherCAT通信への対応も実現しました。
製品の特長
1. 超薄型で高流量を実現
新たに開発された制御バルブの採用により、「DZ-107」は従来の最大流量を3SLMから約7倍へ増やすことができました。この性能向上により、エッチング技術だけでなく、CVD(Chemical Vapor Deposition)やALD(Atomic Layer Deposition)といった、より大流量のガス制御が必要な成膜プロセスにも幅広く対応可能です。
2. 使用温度範囲の拡張
また、この新型コントローラーでは、使用温度範囲の上限も従来の45℃から60℃に引き上げられました。この改良により、様々なガス種にも対応でき、エッチングおよび成膜プロセスの高度化を実現します。特に、最先端半導体製造では温度管理が重要であり、安定した供給が求められます。
3. フレキシブルな運用性
さらに、「DZ-107」はEtherCAT通信に対応しているため、ユーザーは直接装置からガスの仕様変更を行えるようになりました。従来は専用ソフトウェアからのデータ書き換えが必要でしたが、内部メモリーにさまざまなガスのデータを格納することができるため、より柔軟な運用が可能となりました。
堀場エステックは、世界シェアの約60%を誇るマスフローコントローラー市場のリーダーとして、この「DZ-107」を通じて更なる技術革新を進めています。お客様のニーズに応えるための確かな製品力と供給力を持ち続けることで、業界の進化に寄与していくことでしょう。
このように、堀場エステックの「DZ-107」は、半導体製造業界における重要な革新をもたらす製品です。精密かつ効率的な製造プロセスを支えるこの新しいツールの導入によって、さらなる技術的な飛躍が期待されます。