ローム、新しい高精度電流センスアンプを発表
ローム株式会社が、車載信頼性規格AEC-Q100に準拠した高精度電流センスアンプ「BD1423xFVJ-C」と「BD1422xG-C」を新たに開発しました。これらの製品は、自動車向けの電流測定に特化して設計されており、高電圧や負電圧環境での使用に対応しています。
高電圧環境にも対応
「BD1423xFVJ-C」は、その名のとおり+80Vの入力電圧に適応し、DC-DCコンバータや補機バッテリー、電動コンプレッサなど、48V電源で動く高電圧システムに最適です。ゲインの設定が異なる3つのモデル、すなわち「BD14230FVJ-C」「BD14231FVJ-C」「BD14232FVJ-C」が用意されており、用途に応じた選択が可能です。
一方で、より小型の「BD1422xG-C」は+40Vの電圧に対応し、ボディや駆動系における電流監視や過電流検出に役立ちます。このモデルもゲイン別に「BD14220G-C」「BD14221G-C」「BD14222G-C」の3種類がラインアップされています。
電流センスアンプの役割と利点
電流センスアンプは、電流の測定を行うための重要な部品です。回路内のシャント抵抗器によって発生する微小な電圧を増幅させることで、測定可能な信号に変換します。この新製品では、従来のオペアンプ回路をワンパッケージ化し、省スペースを実現。シャント抵抗器を接続するだけで電流の検出が可能で、設計が容易になっています。
また、入力段にはチョッパーアンプを、後段にはオートゼロアンプを採用した2段構成により、±1%という高精度で電流を安定的に検出します。さらにノイズ対策用のRCフィルタ回路を外付けすることで、設計工数の削減にも貢献します。
逆起電力に配慮した設計
新製品は、逆接続や負電圧入力に対しても対応しており、これにより安全性が一層向上しています。特に電動車両(xEV)など高電圧環境下でも信頼性を持って使用することが可能で、ETHに対応した+80V入力の電圧品もラインアップに入っています。
今後の展望と販売情報
この新しい電流センスアンプは、2025年2月から量産が開始されます。その際のサンプル価格は450円(税抜)で、月産10万個の生産体制が確保されています。生産は日本の浜松市を始め、タイやフィリピンの工場でも行われます。
さらに、インターネット販売も開始され、コアスタッフオンラインやチップワンストップなどから購入することが可能です。アプリケーション設計の効率を高めるために、評価用ボードも準備されています。今後もロームは、より高精度で信頼性の高いソリューションを提供し続けていく方針です。
結論
ロームの新開発電流センスアンプは、自動車の高電圧システムによる新たな技術革新を可能にします。これにより、車載機器の安全性および信頼性の向上が期待され、今後の市場ニーズに的確に応えていくというロームの強い意気込みを感じることができます。