狭帯域IoT無線の成果
2026-05-28 12:11:22
大距離映像伝送を可能にする狭帯域IoT無線システムの研究成果
京都大学の新たな狭帯域IoT無線システムの成果
京都大学大学院情報学研究科の原田博司教授を中心とした研究グループは、最新の狭帯域IoT無線映像伝送システムを開発し、約34kmにわたる長距離伝送の実証試験に成功しました。このシステムは、国際標準規格「IEEE 802.15.4 SUN」に基づくWi-SUNシステムを基盤として、VHF帯(220MHz帯)を使用したものです。
背景と課題
近年、IoT(Internet of Things)の普及が進む中で、遠隔地のデータ収集や機器管理のニーズが高まっています。従来、多くのIoT通信システムがUHF帯(920MHz帯)を利用してきましたが、送信電力の制限により、映像を含む大容量データの長距離伝送は難しいという課題がありました。
これを受け、VHF帯の利用が期待され、空中線電力が最大5Wまで可能な狭帯域IoT通信システムの研究が進められています。このVHF帯を利用することで、ドローンによる点検業務や離島への物資輸送など、より広範囲での活用が期待されています。
実験の詳細
この度の実験では、奈良県御所市の葛城山ロープウェイ山頂から発信した映像が、京都府木津川市にある京都大学木津農場で受信されました。両拠点間の正確な距離は33.6kmであり、VHF帯の狭帯域無線システムは、占有帯域幅400kHz、変調方式FSKで150kbpsの伝送速度を実現しています。
送信機には4Kカメラと映像エンコーダが使用され、受信機ではデコーダーとディスプレイが構成されており、映像は圧縮されて送信されます。実験の結果、受信側での信号レベルは-75dBm、パケットエラー率は0%という非常に高い成果が確認されました。これにより、長距離でも安定した映像伝送が可能であることが明らかになりました。
今後の展望
新たに開発したこの狭帯域IoT無線システムは、従来の移動通信システムが難しかった30km以上の距離でも、映像情報をリアルタイムで伝送できる可能性を開きました。この成果をもとに、将来的にはOFDM方式によるより広帯域の通信実験も行い、空域、海上、宇宙空間での新たな応用を模索していく予定です。
今後、このシステムが医療や防災、環境監視など多様な分野で利用されることによって、さらに豊かで安全な社会の実現に貢献することが期待されています。京都大学の研究成果は、IoTの将来に向けた新たな一歩となるでしょう。