オムロンとタカハシが挑む新たな店舗運営モデルの実現
2025年10月から12月にかけて、オムロン株式会社(本社:京都市下京区)と株式会社タカハシ(本社:神奈川県相模原市)は、店舗運営のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める共同プロジェクトを開始します。このプロジェクトは、店舗の陳列棚の状況をより効率的かつ正確に把握・管理する新しい手法の概念実証を目的としています。
プロジェクトの目的
少子高齢化や労働人口の減少により、小売業界では人手不足が深刻な問題となっています。現場の店舗責任者による目視確認では、陳列棚の状況や商品の欠品の有無を把握することが難しく、店舗と本部間の情報連携にも遅れが生じています。この状況を改善し、限られた人員で高い生産性を維持しながら、顧客体験をも向上させる新しい運営モデルの確立が急務となっています。
オムロンはその技術力を生かし、センシング技術とのデータ分析を組み合わせて、実店舗の可視化ソリューションの実現を目指します。これにより、情報共有のスピードを向上させ、店舗運営がよりスムーズに行えるようサポートします。
検証する新手法
本プロジェクトでは、以下の3つの観点から店舗運営の効率化を図ります。
1. 店舗運営の省力化
自走巡回ロボットとAIを活用し、店舗の巡回業務を代替する取り組みが行われます。これにより、エリアマネジャーや店長が行っていた在庫確認業務の一部が自動化され、従業員はより付加価値の高い業務に専念できるようになります。
2. 販売機会損失の防止
巡回ロボットとAIによるリアルタイムな陳列棚の把握が可能になり、商品補充不足などの問題を迅速に可視化できます。これにより、素早く正確な意思決定がサポートされ、販売機会が失われることを防ぎます。
3. 顧客体験の向上
常に商品が充分に陳列されている状態を保ち、お客様が楽しんで商品を見つけられる売場の設計を目指します。買い物体験を豊かにし、顧客の購買意欲を喚起することにつながります。
タカハシが担う役割
タカハシは、AIによる棚の状態検知の精度向上に必要なデータを提供し、検知結果に基づいて未充足棚の補充を実施します。これにより、実運用に近い状況での有効性を確認し、両社一体となって新たな店舗運営モデルの可能性を探求します。
結論
この共同プロジェクトは、業務効率化を進めるだけでなく、売上や店舗のパフォーマンス向上を図り、労働力不足の解消に寄与するものです。オムロンとタカハシの取り組みは、ただの業務改善にとどまらず、小売業界全体の生産性を向上させる大きな一歩となりそうです。今後の展開に注目が集まります。
企業情報
オムロン株式会社は1933年創業のオートメーション関連企業で、全世界で約2.7万人の社員を抱えています。さらに、
株式会社タカハシは「everyday low price」を理念とし、衣料品を中心に幅広い生活密着型商品を提供する流通企業です。今後も両社のコラボレーションがどのように進むか楽しみです。