鉄筋修復の新たな挑戦 "LSR工法"
鉄筋コンクリート構造物の修復工事において、その有効性が期待されている新しい技術『Laser Surface Refine工法(LSR工法)』。日本大学、飛島建設、光響、PCLが共同で研究開発したこの技術は、従来の工法と比較して騒音や粉じんの発生を大幅に抑えることができ、特に都市部での施工において周辺環境への影響を軽減することができます。
研究の背景と必要性
今、国内のインフラは老朽化が進み、特に鉄筋コンクリート構造物の状態が問題視されています。そこで、劣化した鉄筋の修復を目指す断面修復工事が重要な役割を果たすことが求められています。ただし、都市部での施工の際には周囲の環境に配慮する必要があり、従来の手法では騒音や粉じんが問題となり、作業時間や手法に制限がかかることがありました。
LSR工法の概要
LSR工法では、鉄筋の腐食やモルタルの取り除きにレーザー光を使用します。これは、通常の電動工具に比べて音が静かで、粉じんの発生も少なくなっています。具体的には、パルスレーザーで劣化部分を照射し、付着したモルタルを脆弱化。最終的にカップブラシで仕上げるというプロセスを行います。これにより、周囲の住環境や作業環境に与える影響を最小限に抑えつつ、高品質な仕上がりを実現します。
特徴と利点
- - 低騒音・低粉じん: 従来の工法に比べて騒音が26%、粉じんが53%も低下します。
- - 取り扱いの容易さ: 特殊な技術を必要とせず、訓練さえ受ければ施工が可能です。
- - 整備された作業環境: 陽当たりの良い高所作業としても、高い可用性を持っています。
現場適用事例
鉄道高架橋の補修工事など、具体的な現場での導入事例を挙げると、LSR工法を用いることで、全てのモルタルを除去するのは難しいものの、最後にブラシで仕上げることで、従来工法と同レベルの仕上がりが実現しました。また、時間面では従来工法に比べ1.5倍の時間がかかるものの、その分、作業のクオリティを保っています。
今後への期待と展望
LSR工法は、今後も広く普及し、さらなる改良が進み、鉄筋コンクリート構造物の持続可能な維持管理に寄与していくことでしょう。都市部での施工においては、環境に優しい技術として、高い注目を集めています。これにより、私たちの周囲のインフラがより良い状態で保たれることが期待されます。
環境に配慮した技術として、LSR工法はこれからの建設業界の未来を切り拓く重要な鍵となるでしょう。