新たな移動体センシング技術、Wi-SUN FANの可能性を広げる実験成功
京都大学の研究チームは、最新のIoT技術を活用して移動体向けの新しいセンシングシステムを開発しました。このシステムは、国際無線通信規格「Wi-SUN FAN」を利用し、最大時速68kmで走行する移動体から各種センシング情報をリアルタイムで収集するものです。実証実験に成功したことにより、未来のスマートシティ構築の一助となる可能性が高まっています。
背景とWi-SUN FANの特性
近年、スマートシティの構築が進む中で、IoT(Internet of Things)の重要性が増しています。その中で、Wi-SUN FANという通信規格は、大規模かつ広域の通信を必要とするシステムにおいて高い耐障害性を発揮します。この技術は、各ノードが自律的に接続を確立し、通信環境が変化しても柔軟に対応できる点が特徴です。当初は固定したノード間での利用が想定されていましたが、移動体への対応が求められるようになりました。
一方で、既存の通信経路構築アルゴリズムであるRPL(IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks)は、移動体の動的な環境変化に対応しきれない課題がありました。特に、高速移動するノードではパケットの伝送成功率が低下することがわかっていました。
研究成果とアルゴリズムの開発
今回、京都大学の原田博司教授を通じた研究グループは、Wi-SUN FANを使用した移動体センシングにおいて、移動ノードの速度に依存しない新しい通信経路構築アルゴリズムを開発しました。このアルゴリズムの特長は、RPLの基本的な通信経路構築方式を踏襲しつつ、時間制約を持たない仕組みが導入されている点です。
この新たなアルゴリズムを、自律歩行型ロボットに実装し、実証実験を行った結果、高速移動時でもほぼ100%に近いパケット伝送成功率を維持できることが確認されました。特に、移動速度が19m/s(時速約68.4km/h)の状況下でも従来のRPL方式と比べて約2.9倍の改善が見られました。実証実験では、移動全区間で最適な通信ノードの切り替えも行われ、通信の安定性が実証されたのです。
実証実験の結果と今後の展望
自律歩行型ロボットを用いた実験では、ボーダルータと複数のルータを配置した環境においてロボットを移動させ、通信の信頼性を確認しました。その結果、ロボットは近距離の高信頼ノードとの接続をシームレスに行い、移動環境下でも問題なくデータを送受信することができました。また、現在のノードの状態を可視化することもでき、ロボットの移動するエリアを把握することが可能となりました。
この技術の応用により、Wi-SUN FANを使用した移動体からの情報収集や管理が現実のものとなり、今後のスマートシティの構築やさまざまな分野でのIoTシステム発展に寄与することが期待されています。
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