ロームのEcoGaN™が村田製作所のAIサーバー電源に採用される経緯と意義

ローム株式会社の最先端技術であるEcoGaN™が、村田製作所グループのMurata Power Solutionsの人工知能（AI）サーバー向け電源ユニットに搭載されることが決定しました。この動きは、電源の高効率化およびコンパクト化を見据えたものです。

EcoGaN™の特長と利点

EcoGaN™は、特に低損失動作と高速スイッチング性能を特長とする650V耐圧のGaN HEMT（ヘモタリウムモード電界効果トランジスタ）製品です。このデバイスは、AIサーバー向けの5.5kW出力電源ユニットに採用されることで、電源の高効率動作を実現し、周辺部品の小型化にも貢献します。電力需要が急増する中、効率的な電力供給の必要性はますます高まっています。

村田製作所のTechnical FellowであるDr. Joe Liuは、ロームのGaN HEMTを利用することで、AIサーバーの電源ユニットをより高効率かつ高電力密度に設計できると語り、ロームのデバイスの持つ高速スイッチング動作の消耗を最低限に抑える特性が、開発中の電源ユニットにおいて良好な結果を得る一因となっていることを強調しました。

AIとデータ通信の急成長

近年のAIやAR（拡張現実）、IoT（モノのインターネット）の急成長は、データ通信量の爆発的な増加をもたらしています。AIによる情報処理の効率が重要視される中、AIサーバー向けの電源ユニットは、高効率かつ高速な性能が求められています。特にAIの処理には、通常のインターネット検索と比べて数倍の電力が必要となり、この需要に応えるためにますます高効率な電源が重要視されています。

村田製作所との協業

ロームと村田製作所は、エレクトロニクスを通じて社会貢献を果たしたいという共通のビジョンを持っています。村田製作所のパワーソリューション部門では、ロームのGaN HEMTの採用により、電源ユニットの高密度化と高効率化を実現しています。特に、TOLLパッケージを使用することで、放熱性能も優れており、性能の向上を図れるのは注目に値します。今後、両社はさらなる協業を通じて、高効率化を進めることで、電力需要に関する社会課題の解決に向けても取り組む姿勢を示しています。

2050年への道筋

村田製作所の電源ユニットは、2025年からの量産を予定しており、効率性向上が見込まれる中、これまで以上に電力が必要となる社会での持続可能性を担う役目を担います。エレクトロニクス市場における最前線を走る両社の技術が、今後どのように私たちの生活を豊かにするのか、期待が高まります。私たちの生活に必要不可欠な電力供給の基盤を支えるこの技術が、未来の社会をどう形成していくのか、その動向に注目が集まります。

高効率と小型化が両立するロームのEcoGaN™技術が、村田製作所の製品に搭載されることにより、未来のAI社会に向けた重要な一歩となることでしょう。