日本と外国のトイレニーズの相違を読み解く
社会課題解決型トイレマップ「TOIMAP(トイマップ)」を運営する株式会社KICKsの最近の調査によると、観光客と日本人ユーザーの間で、トイレに対するニーズが大きく異なっていることが明らかになりました。
1. 検索データが示すニーズの断絶
TOIMAPが2025年8月から12月にかけて収集したデータを分析した結果、英語圏の観光客は「洋式トイレ」を求める傾向が強く、その検索が全体の約22%を占めています。一方、日本語使用者は「車椅子」や「オストメイト」といったバリアフリー施設を重視する傾向があり、これらの検索が38%にも達しています。
これは、言語や文化の違いによってトイレへの要求が根本的に異なっていることを示しています。英語ユーザーの多くは、和式トイレに対する不安感や使用方法の理解不足から、洋式トイレを求めるのです。そのため、TOIMAPは彼らにとっての文化的障壁を解消するための重要なツールとなっています。
2. 多言語対応がもたらす新たな需要
TOIMAPは2025年11月から、英語だけでなく、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語、ベトナム語など、合計11言語に対応しました。この言語多様性により、英語以外の言語からのアクセスも観測され始め、京都のインバウンド需要がますます多様化しています。
特に、日本のトイレの使い方に関するマナー啓発コンテンツが多言語で提供されることで、外国人観光客が安心して日本のトイレを使用できる環境が整いつつあります。
3. ユーザーが求める機能の違い
日本観光の中心地である京都において、トイレニーズの分断は特に顕著です。英語ユーザーが求める「洋式トイレ」や「女性専用トイレ」に対して、日本語ユーザーは、身体的な条件に合わせたバリアフリー設備を必要としています。検索データから見えるこのニーズの違いは、トイレのデザインや設計に関わる関係者にとっても、重要な示唆を与えるものです。
4. 今後の展望
今後、TOIMAPはこのデータをもとに、自治体への提案や支援を行い、より良いトイレ環境の整備に貢献していく予定です。特に、観光客の利便性向上と、国内のバリアフリーな社会の実現という2つの目的を同時に達成することを目指します。
株式会社KICKsの代表取締役、山本健人は「データを活用し、トイレに関する不安の解消を目指す」と強調しています。トイレに関するニーズの多様化を理解することで、すべての人が快適かつ安心して外出できる社会を実現していきたいと考えています。
このように、TOIMAPはただのトイレの地図にとどまらず、地域社会のニーズを把握し、解決策を提示する重要な役割を果たしています。