商用EVの新時代を切り拓くニチコンの急速充電器
ニチコン株式会社が新たに開発した「サイクリックマルチ充電器」は、商用EVの充電に新たな風を吹き込む製品です。2050年のカーボンニュートラルを目指し、電気自動車の普及が進む中、特に運輸事業者にとっては効率的で経済的な充電ソリューションが求められています。急速充電器の新たな形を掲げるこの製品の狙いを深堀りしていきます。
開発の背景
世界的には2050年を見据えたカーボンニュートラル実現の取り組みが急ピッチで進んでいます。日本でも電動車の導入を加速しており、特にバスやトラックといった商用車のEV化が進められています。目標として、2030年には8トン以下の新車販売の20〜30%を電動車とするほか、2040年までに商用車の電動化を100%達成することが掲げられています。
その中で、運輸事業者が抱える様々な課題を解決するために、ニチコンは「サイクリックマルチ充電器」を開発しました。この製品は、充電器導入のコストや設置スペースの制約といった問題を解消するための新たなソリューションを提供します。
特徴と機能
1. 複数台のEVを高出力で充電
「サイクリックマルチ充電器」は、最大で6台のEVを効率的に充電することが可能です。この充電方式は、1口最大90kWの出力で、複数の車両にサイクリック方式で充電を行います。このシステムにより、充電時間を大幅に短縮し、商用車の稼働効率を向上させます。
2. 充電電力のピーク抑制
従来の充電器では、複数のEVが同時に充電されるとピーク電力が上昇し、電気基本料金が増加する傾向があります。しかし、この新製品では、複数車両に充電する際に最大電力が一定になるため、コスト削減が可能です。
3. 高い設置自由度
「サイクリックマルチ充電器」はセパレート構造を採用しており、設置場所に応じて自由なレイアウトが可能です。スリムなデザインで省スペース化も図られており、周辺への騒音問題も配慮されています。主要機器を隣接する住宅地から離れた場所に設置できるため、地域との調和も実現できます。
4. 充電管理の効率化
充電管理はCMC(Cyclic Multi Charger)用のサーバーで制御されます。各車両はカード認証により管理が行われ、遠隔での充電状態確認や設定変更が可能です。これにより、きめ細やかな充電管理が実現されます。
発売予定と今後の展望
「サイクリックマルチ充電器」は、2025年7月に発売される予定です。ニチコンはこの製品に加え、家庭用蓄電システムやV2Hシステムなど、幅広い製品を展開しています。今後も電気を活用した持続可能な社会の実現を目指し、新たな製品開発に取り組んでいきます。
ニチコンについて
ニチコン株式会社は、1950年に設立され、アルミ電解コンデンサやリチウムイオン電池など、さまざまな電子機器の分野で豊富な製品ラインアップを持ちます。京都市中京区に本社を構え、これからも電気の地産地消を進め、スマートな社会の実現に貢献すべく、革新を続けます。