地下鉄車両リサイクルの新たな試み!アルミニウムの水平リサイクルが実現
東京メトロは、日本の地下鉄業界において初めてとなるアルミニウムの水平リサイクルを実現しました。この新しい取り組みは、廃車された半蔵門線8000系車両のアルミニウムを再利用し、新たに製造される18000系車両の内装部品に活用されるものです。
1. 研究の背景と目的
東京メトロは現在、国内で約2,700両以上の車両を運行しており、その全てにアルミニウム合金を使用しています。アルミニウムは新地金を製造する際に、非常に多くのエネルギーとCO2を発生させるため、リサイクルによる環境への影響が重要視されています。このリサイクルを進めることで、約97%ものCO2排出量を削減できることが確認されています。
これまで、東京メトロでは廃車車体のリサイクル活動を行ってきましたが、鉄やステンレス、樹脂などの除去技術の難しさから、アルミニウムの水平リサイクルには取り組んでこなかったのが現状です。しかし、今後は廃車車体の精密な解体や、アルミ合金の自社処理により、この難題を克服するとしています。
2. 共同研究の実施
今回の取り組みには東京メトロをはじめとする5社が参加しており、各社は異なる分野の専門知識を持っています。この共同作業により、廃車となった8000系車両から必要なアルミ合金を選別することが可能となり、車両内装部品に適した新たな材料が提供されました。
廃車車両の解体・選別
廃車になった8000系車両の車体を分解し、不要な金属や樹脂を取り除き、アルミ合金を選別します。この段階で、約5000番台と6000番台のアルミ合金が確保されました。
水平リサイクル材の製造
選別されたアルミニウムは、溶解されて不純物を取り除かれ、最終的には新しい材料として成形されます。このプロセスは非常に精密で、品質は新地金と同等であることが確認されています。
3. 環境への影響と未来展望
この取り組みの結果として、CO2の排出量は約8トンも削減できました。これは、環境意識の高まりを受けた鉄道業界において、持続可能な社会へと進む一歩です。
今後、アルミニウムの水平リサイクルの適用範囲を拡げるために、さらなる研究が行われる予定です。目標は、車両の強度を必要とする構体へのリサイクルの実現です。これにより、鉄道業界全体の脱炭素化が進むことが期待されています。
4. PR活動とコミュニケーション
新たなアルミニウムリサイクル材を使用した車両には、積極的にPRステッカーが掲出されます。このステッカーは、廃車車両から新造車両へのリサイクルプロセスを表現したデザインとなっており、乗客に理解促進を図ります。
この取り組みを通じて、東京メトロは地球環境と未来への責任を果たす企業としての役割をより強く認識するとともに、持続可能な社会の実現に向けて引き続き努力を続けていきます。