研究の背景
地球の深部には、さまざまな鉱物が存在し、その性質や動態は地球内部の様々な現象に影響を与えています。このたび、国立大学法人岡山大学から発表された重要な研究成果は、地球の深部に広がる水循環のメカニズムを明らかにするものです。特に、下部マントルの主要鉱物であるデイブマオアイトについての深い理解が得られました。
主要な発見
研究チームは、大型放射光施設SPring-8を用いて、川井型マルチアンビル高圧発生装置と放射光X線を組み合わせた高度な実験を行いました。この結果、デイブマオアイトが水をほとんど含まない状態で存在することが裏付けられました。従来の考え方では、デイブマオアイトは「下部マントルの水を担う鉱物」とされていましたが、今回の研究によってその概念が覆ったのです。
実験によれば、デイブマオアイトはその水の溶解度が0.08 wt%以下であることが明らかになり、今まで信じられていた「水を多く保持する」鉱物であるという考え方が一新されました。これにより、深部の水がどのように存在しているのか、より明確な見解を示すことができるようになりました。
新しい水循環モデルの提案
研究は、地球深部の水が主に沈み込んだ地殻物質に集中するという新しい水循環モデルを提案します。具体的には、沈み込むプレート内では、深さによって水の保持能力が変化し、特定の鉱物が水を保持できる仕組みが明らかにされました。特に、マントル遷移層ではウォズレアイトやリングウッダイトが水を保持している一方で、下部マントルに入るとデイブマオアイトのような鉱物はほぼ水を保持できないことがわかりました。
石井准教授の言葉
岡山大学の石井貴之准教授は、「この成果は、日本が誇る放射光技術を最大限に活用し、地球深部を実験室で再現する試みの一環です。学生や若手研究者に、この分野の研究へと挑戦してもらいたいという思いがあります」と語っています。
研究の意義
今回の研究結果は、地球内部の物質循環とその進化を理解する上で非常に重要です。水は地球の地殻やマントルの挙動に大きな影響を与えるため、この知見は地球科学分野の知識を深めるだけでなく、地震などの自然現象の理解にも寄与すると期待されています。今後、さらなる研究が進められ、多くの謎が解明されることを期待したいと思います。
参考文献
本研究の詳細は、2026年7月24日に発表された「Communications Earth & Environment」に掲載されています。