京セラ、世界初の液体水素用高電流端子を開発！

京セラ、液体水素用高電流対応端子を発表

京セラ株式会社が宇宙航空研究開発機構（JAXA）との共同研究を経て、液体水素環境に強く対応できる新たな電流導入端子とコネクタを開発しました。これにより、省エネルギー社会を目指す日本において、液体水素の運搬・貯蔵に関する技術が大きく前進します。

新開発の製品

新たに開発された二つの製品は、100A対応の電流導入端子と、最大110Aまで対応可能なMS-8ピン端子です。これらは、液体水素を使用する苛酷な環境において、安定した電力供給を可能にするために設計されています。具体的には、汲み上げポンプや払い出しポンプ、さらには発電機など、大電力を必要とする装置に活用されることを想定しています。

ちなみに、これらのコネクタはJAXA能代ロケット実験場で実施した耐久性と気密性に関する実証試験を通じて、その信頼性が確認されたという点が強調されます。

開発の背景

日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向けて「水素基本戦略」を策定し、2040年までに年間1,200万トンの水素導入という目標を掲げています。こうした目標達成のためには、液体水素の利用が大変重要です。なぜなら、液体水素は気体の体積を1/800まで縮小できるため、効率的な輸送と貯蔵が可能だからです。しかし、その使用にはマイナス253℃という超低温環境への対応が求められます。

ここで求められるのが、高い耐久性と気密性です。京セラは、長年の技術研究で培った金属とセラミックの複合技術を駆使し、この高要求に応える製品を開発しました。

JAXAとの共同研究

京セラは2016年より、JAXAの小林弘明教授と共に液体水素用セラミックハーメチックシール技術の開発に着手しました。これにより、2024年までにはMS-10ピン端子を世界初の液体水素実証実験で成功裏に製品化しています。その後、宇宙や産業分野における高電流のニーズに応えて、MS-8ピン端子を新たに開発しました。

水素社会への貢献

京セラが共同開発したMS-10ピン端子は、2024年に高圧ガス保安協会からは初めて国内基準外材料として認定を受けました。これにより、液体水素に対する安全性が確認されました。

このように、京セラは水素社会の実現に向け、研究開発の最前線を走り続けています。液体水素に関連する製品の信頼性を高めることで、将来の技術革新に繋がることでしょう。無限の可能性を秘めた水素の未来に、京セラは大きな貢献を果たすことを目指しています。