新刊『モダンファニチャーヒストリー』の魅力
株式会社青幻舎から、建築家でデザイナーの寺田尚樹氏が手掛けた新しい書籍の登場です。その名も『モダンファニチャーヒストリー 今さら聞けない!歴史から読み解く家具デザイン』。1月下旬に刊行されるこの本は、まさにデザインの学習にハマれる一冊です。
18世紀からの家具デザイン
本書では、18世紀半ばの産業革命を起点に、モダンファニチャーの進化をたどります。寺田氏の独自の目線と豊富な知識を基に、トーネットやル・コルビュジエ、イームズ、ウェグナーといった著名なデザイナーから、岡本太郎や倉俣史朗に至るまで、さまざまなプロダクトデザインが描かれます。これまで点としてしか捉えられなかったデザインの系譜が、本書を通じて一本の線となり、明確に見えてくるのです。
世界を巡る五章構成
書籍はドイツ、アメリカ、イタリア、スカンジナビア、日本に分かれた五章構成。各章は「年表」「通史」「Topic」「close-up」という形式で展開され、各ページ下部には「はみだしMEMO」として詳細なエピソードも収録されています。これにより、知識がより深く、広がりを持って伝わる仕組みが整っています。
各章の概要
1.
質実なドイツ - 技術と美が融合したデザインの誕生
2.
裕福なアメリカ - アメリカンデザインの多様性とその影響
3.
陽気なイタリア - 色彩豊かで革新的なイタリアの魅力
4.
清貧なスカンジナビア - シンプルで機能的なデザイン哲学
5.
懸命な日本 - 日本独自の美意識と伝統技術
それぞれの章で、地域の特徴やデザインの進化を深く掘り下げていきます。
歴史をつなぎ合わせる読書体験
本書では歴史を学ぶ際の「同時性」という課題に取り組み、各国の動きがどのように交わり影響し合ったのかを解説します。例えば、スカンジナビアンデザインがアメリカでどのように紹介され、そこからジャパニーズモダンがどう広がったのかを理解することができます。このように、歴史をつなぎ合わせることで全貌が見えてくるのです。
寺田尚樹氏のプロフィール
寺田尚樹氏は、1989年に明治大学工学部建築学科を卒業後、イギリスのAAスクールで学びました。2003年にはテラダデザインを設立し、様々なデザイン分野で活動をしています。また、2018年から2024年まで家具輸入商社のインターオフィス社長を務め、その後は武蔵野美術大学で教授として後進を育成しています。Instagramでは彼の活動やインスピレーションを発信しています。
本書『モダンファニチャーヒストリー』は、家具デザインの歴史を知るための必読書として、自らのデザイン視野を広げる貴重な資料となるでしょう。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください。