扇暖簾がもたらす新たな魅力
川崎市にある老舗居酒屋「戸田ヤ」から生まれた「扇暖簾」。この暖簾は、デザイナー川畑健人が手掛けるブランドTHE NORENMAKERによって進化し、独自の形状を持つ暖簾として展開されています。その名の通り、扇のような曲線を描く暖簾は、従来の四角いデザインに代わる新たな視点を提供しています。
「扇暖簾」とは?
「扇暖簾」は、来店のハードルを下げることを目的にデザインされています。半円形の姿は、心理的な敷居を下げるだけでなく、空間に柔らかさと動きを生み出します。ストレートな形から柔らかな曲線へと変化することで、店舗の印象を大きく変えることができ、訪れた人々が心地よく感じることができるでしょう。
さらに、扇暖簾はただの装飾ではありません。人と場所、内と外を結ぶ存在としての役割も果たしており、これまでにない新しい価値を持つプロダクトとして注目されています。
受賞歴とアートプロジェクト
「扇暖簾」は、ただのプロダクトデザインにとどまらず、アートの要素を取り入れた作品でもあります。その代表的なものが、川崎市美術展で最優秀賞を受賞したアートプロジェクト《imaginary folklore -eye-》です。このプロジェクトは、韓国の藍染の伝統技術を用い、地域の記憶や文化を現代的に再解釈する試みとして大きな注目を浴びました。
メインテーマである「imaginary folklore」とは、故郷に残る文化や記憶を再構築し、未来につなげるという意味を持っています。失われつつある地域文化を扇暖簾に落とし込み、新たな物語を紡ぎ出すこのプロジェクトは、多くの人々に地域の魅力を再認識させることでしょう。
伝統技術と新しい表現
このプロジェクトの制作過程では、川崎市伝統工芸館で藍染めの工程を学びました。この施設は川崎での藍染の伝統技術を保存・継承することを目的としており、地域のアーティストやウィルスたちにとっての重要な拠点となっています。藍色の奥行きある美しさは、地域の文化を表現するための重要な要素。作品名の「-eye-」は、目と藍をかけた言葉遊びでもあり、地域の文化を静かに見つめる視点を示しています。
未来への展望
今後、THE NORENMAKERは扇暖簾を起点にし、様々な地域の文化や伝統と向き合っていく活動を続けていく予定です。扇暖簾を通じて、何気ない日常の中に新しい「入口」を提供し、地域文化の再生や発展に寄与していくことを目指しています。 これからもこのブランドから目が離せません。
展示情報
「扇暖簾」は2026年2月19日から3月7日まで、ミューザ川崎シンフォニーホールで展示されます。入選作品展と入賞作品展が分かれた日程で行われるため、ぜひ足を運んでその魅力に触れてください。
様々な協力
川崎の伝統を体感したい方には、日本民家園や川崎市伝統工芸館での藍染め体験もオススメです。
お問い合わせ
「扇暖簾」に関する詳細、展示情報については、THE NORENMAKERの公式サイトまたはSNSで確認できます。地域文化と触れ合いながら、新しい体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。