すかいらーくが目指す「人材の質向上」
すかいらーくグループが約3000店舗に導入した「ABILI Career」は、サービス業の従業員が自らのキャリアを形成するためのデジタルプラットフォームです。このシステムは現場の約10万人のクルーを対象にしており、キャリア育成と評価の透明性を確保することを目的としています。半年間の導入期間を経て、昇給・昇格率が前年同期の1.7倍に達したことは、このシステムの効果を示しています。
設立の背景と目的
これまで、すかいらーくホールディングスでは、パート・アルバイトスタッフの育成や評価を紙媒体で管理していました。しかし、評価基準がバラバラで進捗状況の把握が難しいため、デジタルによる改善が求められていました。また、各ブランドごとに必要とされるスキルや知識が異なるため、統一的な育成プラットフォームが必要という課題も抱えていました。顧客の多様なニーズに応えるために、従業員一人ひとりが成長のステップを明確に理解し、正当に評価される体制の構築が不可欠だとの認識に至りました。
「ABILI Career」開発の経緯
ABILI Careerの構築は、すかいらーくとClipLine社が協働して進めました。具体的には、数十年にわたる従業員育成のノウハウと実践的な運用設計を融合させ、現場が自立して判断できる能力を高めることが重視されました。各ブランドに特化したスキル体系を一つのプラットフォームに集約し、評価項目や昇格ステップを柔軟に設定できる設計がなされています。特に、現場のマネジャーだけでなく、リーダークルーにも評価の権限を付与することで、日常業務の中で自然に成長を促す仕組みが整えられました。
成果と今後の展望
「ABILI Career」は2025年1月からクルーへの活用がスタートし、具体的には昇格の基準が明示され、必要な教材や動画のリンクも提供されるようになりました。これにより、自らのキャリア形成に取り組むクルーが増え、現場での育成と評価がより活発になっています。定量的なデータとして、導入後の昇給・昇格率が5割を超え、前年同期と比べて1.7倍の増加を確認しています。
組織文化の変化
数名のクルーへのヒアリングを通じて、成長ステップが明確になったことで、社員の学習意欲も向上しました。特に、評価基準の明確化が、マネジャーがクルーの昇格に対して自信を持つ要因となっており、その結果、現場での育成が活発化しています。クルー自身も自分のスキルの向上に気づくことができ、主体的に学ぼうとする姿勢が芽生えています。
まとめ
すかいらーくホールディングスとClipLineとのパートナーシップを通じて実現された「ABILI Career」は、単なる評価システムに留まらず、従業員の成長を促すためのサポートシステムとも言えるでしょう。今後はこのシステムを通じて、更なる人材育成と顧客サービスの向上を目指すとともに、より良い職場環境の実現に寄与することが期待されています。詳細については、公式ウェブサイトでも確認できますので、ぜひチェックしてみてください。