概要
最近、京都府京丹後市にある株式会社小谷常では、認知症の方が安心して旅を楽しむことができる社会を目指す新しいプロジェクトが始まりました。この取り組みは、「旅も仕事もあきらめない」という理念の下、旅館をフィールドとしてスタートします。
認知症にもやさしい宿のキックオフ
このプロジェクトは、京都府立医科大学の教授や地域の医療関係者、研究者、企業など、幅広い分野の専門家たちが一堂に会するイベントから始まりました。23名の参加者が集まり、認知症の人が地域において自らの役割を持ち続けられる未来について語り合いました。特に「認知症の人は支えられる存在」という考えを越え、彼らが旅を楽しみ、働き続けるための環境づくりが求められています。
その意義
2025年には高齢者の約5人に1人が認知症になるとされています。これに伴い、認知症と診断されたことで旅行や仕事を諦めざるを得ない状況が増える中、彼らの生活の質を向上させることは急務です。旅館という開かれた空間で、認知症の方が他者とつながり、自らの経験を生かしながら社会参加を果たせるようにすることが、この取り組みの目的です。
実践から生まれる学び
小谷常では、79歳の仲居が現役で働いていたりと、実際に高齢者と認知症の方たちが共に生活し、働く環境が整っています。こうした現場での実践を通じて、旅行者一人ひとりに寄り添うサービスが生まれています。認知症の方々に対して特別視することなく、彼ら自身が選択し、楽しむことができる宿を目指しています。
中心的な取り組み
このプロジェクトを牽引しているのは、小谷常の代表取締役社長であり女将の小谷奈穂です。彼女は、旅館の運営だけでなく、京都府立医科大学院での研究においても、認知症を含む高齢者がどのようにして社会に関わり続けられるかを探求しています。また、鹿児島の「京丹後こども・みらいプロジェクト」など、医療的ケアを必要とする子どもたちを支援する取り組みも推進しています。
未来への展望
認知症にやさしい宿のモデルを広げ、全国的な規模での認知症支援の輪を広げるためには、地域全体での理解と協力が不可欠です。小谷常と多職種連携をし、現場からの学びを研究に活かし、その結果を再び現場に戻すという好循環を作り上げることが目指されています。この活動は、2023年10月10日-11日には京都府立医科大学での「日本老年行動科学会 第28回京都大会」において発表される予定です。
結論
認知症の人が安心して旅を楽しむためには、地域社会全体で彼らをサポートし、理解を深めることが重要です。小谷常の取り組みはそれを実現するためのモデルケースであり、より多くの宿泊施設がこの理念を受け入れることで、皆が安心して旅を楽しむことができる社会を目指す第一歩となるでしょう。