リトアニア現代オペラの革新『HAVE A GOOD DAY!』
2023年9月、ロームシアター京都にてリトアニアの現代オペラ『HAVE A GOOD DAY!』が日本初演を迎えます。この作品は、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞した3人の女性アーティストによるもので、労働や消費、そして人間存在の本質を問う深淵なテーマが描かれています。興味深いのは、その舞台設定が現代のスーパーマーケットである点です。
舞台上には、10人の店員が機械的な挨拶を繰り返す様子が映し出されます。「こんにちは!」「ありがとうございました!」「良い一日を!」といった言葉は、消費社会における私たちの日常を象徴しています。しかし、彼らの内面にはどのような感情が渦巻いているのでしょうか。観客は、音楽と演技を通じて、それぞれのキャラクターが抱える悩みや孤独を感じ取ります。
創造的なアプローチ
このオペラパフォーマンスは、きわめてミニマルな演出が特徴です。消費の対象そのものが舞台に現れることはなく、蛍光灯の明滅や商品がスキャンされる際のブザー音が、観客の想像力を掻き立てます。その音響の中で歌われるアリアは、現代を生きる私たちを反映したものです。たとえば、「新人」の不安や、異国で作業する「移民の母」の苦労、日々の生活に追われる「シングルマザー」などの姿が描かれ、観客は彼らの物語に引き込まれます。
知恵と感情の交錯
観客はそれぞれのキャラクターのストーリーに共感しながら、労働や消費の現場がどのように人間を形作っているのかを考えさせられます。『HAVE A GOOD DAY!』の中で、個別の孤独な呟きがやがて合唱になり、消費社会への皮肉やユーモア、また詩的な美しさが観客を包み込みます。これによって、私たちが普段意識しない人間の多様性が静かに浮かび上がってくるのです。
アーティストたちの背景
この公演を手掛けるのは、リトアニアの3人の女性アーティスト、ヴァイヴァ・グライニテ(台本)、リナ・ラペリテ(作曲・音楽監督)、ルギーレ・バルズジュカイテ(演出・美術)です。彼女たちは、ドキュメンタリーやフィクションの融合、現実と詩の交錯に挑戦しています。比較的新しい作品でありながら、その評価は非常に高く、世界中の音楽・演劇・オペラフェスティバルで上演されています。
公演情報
公演は9月25日と26日の二日間にわたって行われます。26日の公演については託児サービスが用意されているため、小さなお子様をお持ちの方でも安心して観劇できます。各公演における入場券はすでに発売中で、会場では耳が不自由なお客様のためのヒアリングループや、車椅子の方へ向けたサポートも完備しています。
また、今回の公演を記念して、観劇後の感想シェア会も開催されます。これは観客同士で感想を共有し、意見交換をする貴重な機会となるでしょう。
この革新的なリトアニア現代オペラの鑑賞が、あなたにとって特別な体験となることは間違いありません。ぜひこの機会をお見逃しなく!