外食企業が一次産業に参入する新たな潮流
近年、外食企業の調達環境は大きく変化しています。円安や原材料価格の高騰、海外事業者との競争が激化する中、従来の「仕入れる」スタイルから「共に育てる」モデルへの転換が求められています。特に、調達が安定しない現在、外食産業は生産者や生産現場との連携を強化し、生産ラインに直接参入する動きが広がってきました。
外食企業の一次産業への取り組み
外食業界において、食材の調達はますます難しくなっています。2025年に実施された調査に寄れば、94.6%の飲食店が仕入れ価格の上昇に直面しており、多くの企業がこの状況を改善するための新たな方法を模索中です。
くら寿司は、これらの課題を解決すべく、一歩進んだ取り組みを進めています。2010年から始まった「天然魚プロジェクト」などの活動を通じて、国内120以上の漁協と提携し、安定した水産物の供給を実現しています。また、「KURAおさかなファーム」との立ち上げにより、自社養殖やスマート養殖など、高付加価値な魚を育てるための新たなモデルを探索しています。
サイゼリヤやモスフードサービスの事例
例えば、サイゼリヤは福島県白河高原に280ヘクタールの農地を取得し、契約農家と共に生産体制を整えています。モスフードサービスも、地域の生産者と連携して「モスファーム」を開発し、全国で新鮮な野菜を調達しています。これらの企業も、自ら生産に関与することで安定供給を目指しています。
くら寿司の取り組み
くら寿司が展開する「KURAおさかなファーム」は、漁業者の高齢化や担い手不足といった問題にも直面しています。生産者が安心して養殖に専念できるよう、自社が提供する餌や設備を活用するなど、負担を軽減しています。この取り組みにより、養殖魚の出荷数量は増加傾向にあり、2027年には出荷量が2,000トンに達する見込みです。
生産から販売までを一貫して行うこのモデルは、生産者と消費者にとってもメリットがあります。食材の品質や鮮度を保つだけでなく、生産者の収益安定にも寄与しています。
宇和島プロジェクトとの連携
くら寿司は、愛媛県の「宇和島プロジェクト」とも協力しており、みかんの皮を融合させた「みかんブリ」などユニークな商品を生み出しています。これにより、厳しい競争環境での差別化を図りながら、地域の水産業の活性化にも貢献しています。
このように、外食企業が一次産業へと進出することで、新たなビジネスモデルが生まれつつあります。今後も、これらの取り組みが日本の食文化や産業の発展に寄与することが期待されます。
まとめ
今回は、外食業界が直面する調達環境の変化や、くら寿司を始めとする企業がどのようにこれに対応し、持続可能な未来を見据えた取り組みを行っているのかをご紹介しました。今後の展望として、企業間の連携やテクノロジーを活用した新しい方法がますます重要になることでしょう。これからもこうした取り組みが進化し、日本の食文化の豊かさを維持していくことを期待しています。