ローム株式会社が開発したAI機能搭載マイコン
ローム株式会社(本社:京都市)が新たに開発した「AI機能搭載マイコン」は、ネットワークを介さずに独自の学習と推論を行うことができる、まさに画期的な製品です。このマイコンは、あらゆる産業機器においてセンシングデータを使った故障予兆検知や劣化予測を実現します。この新技術の導入により、運用効率の向上が期待されています。
AIマイコンの特徴
ロームのAIマイコンは、業界で初めてネットワーク不要でのデータ処理を可能にしました。これにより、より柔軟に環境の変化に対応することができ、故障の予兆を早期に検知することができます。また、AIの処理モデルとして一般的に用いられるクラウド型やエッジ型とは異なり、オンデバイス学習を実現しているため、リアルタイムでのデータ処理が可能です。
ハードウェアの強化
このマイコンは、32bit Arm(R) Cortex(R)-M0+コアを搭載し、さらにはAIアクセラレータ「AxlCORE-ODL」により、従来のマイコンに比べてAI処理速度が約1,000倍も向上しています。これによって、大きなデータ量を迅速に処理し、「いつもと違う」異常を即座に検知し、その情報を数値として出力できるのが特長です。
多彩な用途
幅広い産業機器や家庭用設備、さらには家電機器にまで使用できるこのマイコンは、故障予兆を監視するためのセンサと組み合わせることで、異常検知や状態監視が高い精度で可能となります。加えて、高速学習が可能なため、既存機器への後付けもスムーズです。これにより、業務の効率化やメンテナンスコストの削減が実現します。
簡易な導入支援ツールとエコシステム
ロームでは、AIマイコンの導入をよりスムーズに行うためのエコシステムを構築しています。パートナー企業との連携によって、モデル開発や導入サポートが充実しており、学習データの作成支援も行っています。さらに、AIシミュレーションツール「Solist-AI™ Sim」を公式サイトで提供しており、これを活用することで導入前に学習・推論の効果を確認することができます。
まとめ
今後の産業機器の運用において、故障予兆検知や効率的なメンテナンスが求められる中で、ロームのAI機能搭載マイコンは、セキュリティリスクを回避しつつ、リアルタイムに状態を把握できる画期的なソリューションであることが期待されます。2025年2月から量産開始予定で、広範なラインアップが展開される見込みです。新たな技術の進展が、今後の産業界にどのような影響を与えるのか注目です。