西日本の鉄道網を支えるJR西日本グループが、革新的なAI技術を活用してレール傷の管理業務を大幅に効率化する取り組みを開始しました。2023年の初め、株式会社JR西日本イノベーションズと、京都に本社を置く株式会社HACARUSが共同でレール傷管理業務に挑むことが発表されました。これは、昨年度に開催された「JR西日本グループイノベーション&チャレンジデイ」での成果を基にしたもので、特にレールに発生する傷の状態把握を効率化することが求められていました。
レール傷の評価は、レール探傷車という特殊な車両を利用して行われます。この探傷車は、エコー画像を用いてレール内部の隠れた傷を検出しますが、一度の測定で生成される画像は膨大で、技術者は数多くの画像を目視で確認しなければなりません。この作業は非常に時間がかかり、熟練した技術者の目による判断が必要で、負担が大きい作業でした。
HACARUSは、少量のデータからでも高精度な特徴を抽出可能なスパースモデリング技術を有しており、この技術を活用したAIシステムを開発中です。昨年10月に実施された実証実験では、100枚程度の教師画像を使用し、AIによるレール傷の検出を行いました。その結果、高精度で傷を認識する能力を示し、今後の改良に向けた重要な知見も得ることができたのです。
AIの活用により、レール傷の検出作業が効率化され、技術者の負担軽減が図られます。HACARUSとJR西日本は、さらなる教師画像の追加とAIの運用改善を行い、システムの実用化を目指していく方針です。
JR西日本グループは、地域のインフラを支える重要な役割を担いながら、革新を通じた持続可能な未来を目指しています。「私たちの志」と「長期ビジョン2032」を掲げ、多様なパートナーとの連携を通じて、新しい挑戦を続けています。この取り組みの実現は、ただの技術革新ではなく、乗客にとってもより安全で快適な移動手段を提供することに繋がります。
一方、HACARUSは「未来を造る人に 次世代の「はかる」を」というミッションを持ち、AIソリューションを通じた問題解決に特化しています。少ないデータを効率的に活用し、独自の技術を駆使して様々な業界の課題に取り組んでいます。この連携によって、鉄道業界のみならず、さまざまな分野においてもAIの可能性が広がっていくことが期待されます。これからの進展が楽しみです。