ROHM PLECS Simulatorでパワーエレクトロニクス回路を革新
京都市に本社を置くローム株式会社は、パワーエレクトロニクス回路の設計者とシステム設計者向けに、Web上で動作する新しいシミュレーター「ROHM PLECS Simulator」を公開しました。このツールは、既に市場で評価を得ているシミュレーションソフト「PLECS®」を基にしたもので、パワーデバイスの動作を素早くシミュレーションする能力が特徴です。
効率的な設計プロセスを実現
「ROHM PLECS Simulator」では、ユーザーがWebサイト上のリストから任意のパワーエレクトロニクス回路のトポロジーや、ロームが提供する各種パワーデバイスを選択することで、損失や温度上昇のシミュレーションを数秒から数分で行うことができます。これは、回路設計の初期段階において最適なデバイスを選択する際の手間を大幅に削減してくれる便利な機能です。現在、既に20種類のトポロジーを用意しており、SiCデバイスやIGBT、パワーモジュールなど多様なデバイスモデルや回路トポロジーを今後も追加する計画です。
無償で利用可能
このシミュレーターは、ロームの公式Webサイトでユーザー登録を行うことで無償で使用できるようになっています。さらに、特設ページでは、シミュレーターのアクセス手段に加えて、ユーザーが利用する際に必要となる情報やサポート資料(ユーザーマニュアルやアプリケーションノート)も用意されています。このサポート体制により、ユーザーは安心してシミュレーションを始められます。
開発の背景と二つのシミュレーター
ロームが「ROHM PLECS Simulator」を開発した背景には、特にパワーエレクトロニクス回路に関する設計プロセスに対するニーズがあります。従来のハードウェア試作はコストがかかり、時間も取りがちですが、近年はシミュレーション技術が進化してこれを代替しています。ロームは2020年に「ROHM Solution Simulator」を導入し、パワーデバイス製品とIC製品を一括で検証できるプラットフォームの提供を始めました。このシミュレーターは、トポロジーやデバイスモデルを充実させることで、高い再現性を持つ波形の確認を可能としています。
しかしながら、開発の初期段階では、迅速に損失や熱を検証し、最適なパワーデバイスを選びたいという要求がありました。これに応じて開発された「ROHM PLECS Simulator」は、特に損失と熱計算に特化したツールとして位置付けられています。スピーディーな初期検討を「ROHM PLECS Simulator」で行い、詳細かつ高精度な検証は「ROHM Solution Simulator」で実施するという使い分けにより、設計者はより効果的にシミュレーションを活用できるようになります。
PLECS®について
なお、PLECSは、複雑な電気・電力システムのモデル化やシミュレーションを行うために開発されたパワーエレクトロニクス回路のシミュレーターです。高速計算が得意で、システム全体の応答を迅速に確認することができます。このブランドの成長とともに、シミュレーション技術はますます重要な役割を果たしていくことでしょう。来るべきパワーエレクトロニクスの未来に備えるために、この「ROHM PLECS Simulator」は欠かせない存在となることでしょう。