訪問看護と熱中症
2025-06-26 14:49:45

熱中症対策義務化と訪問看護の現実──従事者が直面するジレンマとは

概要


近年、日本では記録的な猛暑が続き、それに伴い熱中症の危険も増しています。訪問看護に従事する方々は、酷暑の中で患者のケアを行っており、今後の法改正により、より一層の対応が求められています。2025年6月から施行される「改正労働安全衛生規則」に基づき、熱中症対策が法的義務となることが発表されていますが、現場の従業員にとって、その実態や支援体制は十分に整っていないようです。

調査の背景


株式会社eWeLLが実施した調査によると、訪問看護従事者596名を対象に、熱中症対策の実情が明らかになりました。調査の結果、訪問看護現場の厳しい実情や新ルールに対する理解不足、支援体制の不備が浮き彫りとなりました。

調査結果


1. 熱中症の経験


調査によれば、36.7%の訪問看護従事者が業務中に熱中症(疑いを含む)を経験したと回答しています。98.2%が何らかの対策を講じているものの、その実態は自己管理に依存しているのが現状です。具体的な声としては、「水分補給や休憩を個人で調整しており、事業所からの支援が不足している」といった内容が寄せられました。

2. 利用者宅の難しい現実


訪問看護では、利用者宅におけるエアコンの使用をめぐる葛藤が大きな課題です。82.9%の看護師が「水分を摂りたがらない」と回答し、63.1%が「エアコンを使いたがらない」との声がありました。利用者が経済的理由や価値観からエアコンの使用を拒否することが、看護師にとって大きなジレンマとなっていることがわかります。

3. 法改正への理解不足


最近施行された「改正労働安全衛生規則」について、67.4%の従事者がその内容を「よく知らない」と回答しました。この法改正は重要な規則でありながら、現場まで情報が届いておらず、現実とのギャップが生じています。個々の従事者へ情報を届ける仕組みが求められています。

現場からの声


訪問看護従事者からは、具体的な支援を求める声が多く上がっています。「訪問日時の適正化や、休憩の導入をお願いしたい」という意見や、行政に対して「利用可能な駐車場の確保を希望する」といった意見が寄せられています。

今後の展望


eWeLLは、DX技術を活用し、訪問看護現場での情報発信や業務支援を強化する意向です。スタッフの負担を均一化し、訪問スケジュールの最適化を図ることで、より安全な業務環境の確立を目指します。熱中症対策は、単独の問題ではなく、在宅医療全体に関わる重要な課題であることを認識し、今後の取り組みが期待されます。


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