新型GaN HEMTパッケージ「GNP2070TD-Z」の魅力
京都市に本社を構えるローム株式会社が、650V耐圧のGaN HEMT(ガリウムナイトライド高電子移動度トランジスタ)の新しいTOLL(TO-LeadLess)パッケージ、「GNP2070TD-Z」の量産を始めました。これにより、産業機器や車載機器において、高電力を必要とするアプリケーションへの適応がますます進むことが期待されています。
TOLLパッケージの特徴
このTOLLパッケージは、コンパクトなサイズと高い熱放散能力を兼ね備えています。さらに、電流容量やスイッチング特性においても非常に優れた性能を誇り、特にハイパワーアプリケーションでの需要に応えるものとして注目されています。特に、今回導入された第2世代のGaN on Siチップが搭載されており、業界最高水準のデバイス性能指標(RDS(ON)×Qoss)を達成しています。
この数値は、高耐圧かつ高効率なスイッチングが可能であり、電源システムの更なる小型化とエネルギー消費削減に大きく貢献します。
生産の背景と協業
新型パッケージの生産については、豊富な半導体後工程の経験を持つ日月新半导体(威海)有限公司=ATX社に委託されています。ATX社は、高い技術力を持つ業者として、ローム株式会社と共にさまざまなパワーデバイスの開発を進めています。特に、車載向けのGaNデバイス生産においても、さらなる協力関係を築くことが目指されています。
2023年末から量産を開始し、サンプル価格は税抜きで3,000円から。製品はコアスタッフオンラインやチップワンストップなどのインターネット販売サイトで購入可能です。
環境への配慮
近年、我々が直面している課題の一つに、脱炭素社会の実現があります。全世界の電力消費の約半分を占める電源やモーターの効率向上は、今後ますます重要なテーマとなるでしょう。ロームは、この流れを受け、新材料であるSiC(シリコンカーバイド)やGaNを用いたパワーデバイスの開発に力を入れています。特にGaNデバイスは、次世代の省エネ技術として期待されています。
2023年4月に650V耐圧の第1世代GaN HEMTを量産開始し、その後もパワーステージICを展開するなど、革新のスピードを加速しています。
具体的なアプリケーション
新たに発表された「GNP2070TD-Z」は、幅広い電源システムに適用でき、出力電力は500Wから1kWクラスまで対応可能です。これにより、サーバー電源、ACアダプタ、通信基地局電源、産業機器電源、さらには再生可能エネルギーの発電システムなど、さまざまな分野での利用が期待されています。
まとめ
ローム株式会社の新型GaN HEMTパッケージ「GNP2070TD-Z」は、小型・高放熱性に加え、高い電力効率を実現した革命的な製品です。今後の市場ニーズにしっかりと応え、持続可能な社会の実現にも寄与していくことでしょう。ロームの取り組みに期待が寄せられます。