ドローン産業の未来を考えるシンポジウムが350名超を動員し開催

2025年12月10日、京都のロームシアターにて、一般社団法人DPCA（ドローン撮影クリエイターズ協会）の設立10周年を記念したシンポジウムが開催され、350名以上の来場者が集まりました。本シンポジウムは、航空法に無人航空機が明記されてからの10年間を振り返り、今後のドローン産業の可能性と課題について考えることを目的としています。

専門家が集結し、ビジョンを共有

午前中には、全国各地から集まった約50名の関係者が参加する「DPCA・RUSEAビジョンサミット」が行われました。参加者はワールドカフェ形式で意見を交わし、それぞれの想いやビジョンを共有。北海道から沖縄までさまざまな地域から集まった講師や支部関係者たちは、未来のドローン産業を一緒に描くための象徴的な時間を過ごしました。

問いを投げかけるオープニング映像

シンポジウムが始まると、会場が暗転した中で「あなたは何のためにドローンに関わりますか？」というオープニングムービーが上映されました。この映像は災害対応や社会インフラ、産業現場でのドローンの使い方を描き出し、来場者たちに深く考える機会を提供しました。自己の立場や歩みを重ね合わせながら、“なぜ自分はこの分野に関わっているのか”という問いが投げかけられました。

来賓の期待で盛り上がる挨拶

来賓挨拶では、京都府副危機管理官や東京大学の教授などが登壇しました。彼らはDPCAとの関係性について言及し、ドローンの災害対応や社会インフラを担う役割の重要性を強調しました。特に、今後のドローン産業において何が必要とされているかが議論され、シンポジウムの意義が示されました。

制度の進化と国のビジョン

続いて、国土交通省航空局の専門官が安部課から講演を行い、無人航空機産業の進展や政策の進化を語りました。航空法改正から10年が経過し、制度整備の現状や無人航空機操縦者技能証明制度などが説明され、参加者の間では多くのメモが取られ、その関心の高さが見受けられました。国が描いている未来像について真剣に向き合う時間が持たれました。

災害対応に向けたJAXAの具体的な取り組み

次に、JAXAの専門家が登壇し、災害時の有人機と無人航空機の連携について具体的なイノベーションを紹介しました。その中で、災害救援航空機情報共有ネットワーク（D-NET）の重要性が述べられ、人と情報の連携がいかにして災害時に役立つかが強調されました。これにより来場者は新たな希望を感じ、積極的な声が上がりました。

信頼構築を目指す日本海事協会

次の講演では、日本海事協会の専門家がドローン業界に信頼をもたらす役割について語りました。運用者、事業者、行政の三者が相互に信頼を構築する必要性があり、そのための努力が求められていることが共有されました。このような視点が、産業確立の鍵であることが再度確認されました。

複数の視点でのパネルディスカッション

シンポジウムの後半では、官・学・産それぞれの立場から意見を交わすパネルディスカッションが行われました。ドローン産業の社会実装に伴う課題や現場の声を元に、今後の方向性について話し合われ、具体的な提案がなされました。この会議は単なる課題整理だけでなく、各分野がどう結びついていくべきかを考える重要な場となりました。

DPCAの未来構想

最後にDPCAの代表理事が今後のビジョンを示すプレゼンテーションを行い、2030年に向けたドローン社会のイメージを共有しました。DPCAが描く未来社会では、ドローンが自然に共存し、日常生活の一部として機能することが期待されています。この強いメッセージは、参加者全体に感動を呼び起こし、シンポジウムの締めくくりとなりました。全体を通じて、このシンポジウムはドローン産業の未来を見つめる重要な起点であり、参加者たちの意識を高める素晴らしい機会となりました。